テートモダン

takibata2006-07-30

語学研修の学生たちと一緒に無事、ロンドンに到着。午後からは自由行動で、思い立って、テートモダンに行く。地下鉄ボンドストリート駅から、ウエストミンスター経由マンションハウス駅下車、ミレニアムブリッジを渡って、巨大なテートモダンへ。
 4階が特別展の会場で、東半分がカンディンスキー:The Path to Abstraction、西半分がPierr Huyghe:Celebration Parkで、この2つのみが有料。前者が£10、後者が£7で、共通チケットだと£14になる。£1=225円程度なので、かなりの高額である。
The Path to Abstractionは、カンディンスキーの初期の風景画から1921年のCircles on blackまでを展示。日曜の午後ということもあって、多くの人で賑わう。
Celebration Parkは、Room3に、巨大なインスタレーション“Gates”(2006)があり、驚く。部屋の天井にレールがカーブを描いて張り巡らされ、人の背丈の2倍ほどの高さの白いドア2枚が、このレールに宙吊りになっているのである。そして、このドアが、別々に回りながら、部屋の中を動いている。ロープウェイのような状態で、天井のレールは高槻赤十字病院で採用されている、受付と各診療科をつなぐカルテ輸送装置を思い出させる。また、部屋の中を動く作品としては、昨夏、ニューヨークのPS1に展示されていた、床のレールを走る、来館者がひとりずつ乗れる木製の汽車(窓の外の景色が汽車の動きにつれて変化する影絵でできた楽しい作品)を思い出す。
奥のRoom10の映像作品“Streamside Day”(2003)が、これまた楽しい。アメリカで新しく開発された村で、動物に扮した仮想パレードが、スクールバス、パトカー、郵便配達車、消防車を従えて行進し、村の広場でパーティーが開かれるというもの。屋外で大きな肉やハンバーグが焼かれ、ハンバーガーを頬張る人々。夕暮れての音楽の演奏や、子どもたちが動物の縫いぐるみをかぶってふざけあう様子。広々とした新興住宅地の赤茶けた土の色と、いかにものんびりとした、これといって盛り上がるわけでもなく、ゆったりと屋外チェアに座って食事や音楽を楽しむ、村開きの様子。夜も更けて人々が引き上げてゆく姿と、ひとり楽器を弾く若者。画面は一転して、“A Journey that wasn’t”ディズニー映画のシーンを再現するような森の小動物たち。バンビは、切り開かれた村の新しい住宅の中に迷い込み、親子4人のファミリーは、分譲前のビレッジの完成予想模型を覗き込む。
Pierr Huygheの作品は、あとを引く作品で、その意味は反芻されていくものなのだろう。テートモダンの特別展示室の映像作品の部屋のじゅうたんは、たいへん手触りがよい。リラックスして床座りができる。
無料の展示室の中の、Christian Marclayの映像作品“Video Quartet”(2002)も大変おもしろく、笑いが絶えなかった。