博物館法改正に向けて

takibata2007-01-19

 もう一つ、大切なことが残っていた。19日は、「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」が開催される日だったと記憶している。自分の論文に精一杯で手が回らなかったが、取り急ぎ、下記のようなメールをT先生あて送っておいた。

ぎりぎりで間に合わないかもしれませんが、前回の会合で、きちんとお伝えできなかったことを文章化しますので、検討委員会で検討していただければ幸いに存じます。

1.博物館の自律性の保障について

 現行法では、登録博物館になれる公立館は、教育委員会所管の館だけです(19条)。教育委員会制度の存続自体も危ぶまれていますが、実態はともあれ、複数の委員による合議制の教育委員会の下にあることは、理念としては、「教育行政の一般行政からの独立」を保障するものです。
 これは、首長(部局)からの恣意的な介入(例えば、展示内容や資料購入に対するクレームなど)に対して、一定の歯止めをかける根拠となるはずです。
 法改正によって、教育委員会所管以外の公立館も、「博物館」としての認定を受けるような形が検討されていると思いますが、新たな制度設計の際、現行法で担保されている「一般行政からの独立」を何らかの形で保障するような制度設計を望みます。

2.登録(認定)基準について

 博物館の中には地域密着型の小規模館もあります。これまで、日博協でも議論されてきたように、各館が自主的に定める設置目的・使命に応じて柔軟な審査が行われることが望まれます。私立館も含む小規模館の存続を支援できる制度設計を望みます。

とりいそぎ、この2点をお伝えします。
学芸員資格の高度化の話に偏ることなく、現在及び将来の利用者の権利を守る視点から、法改正が行われることを期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

もっと包括的な書き方があると思われるが、特に(1)は前回の全博協(東日本部会)中心の意見交換会で、うまく言語化できなかったので、どうしても伝えておきたかったのである。畏友は、利用者の権利の保障←博物館の自由+専門職倫理、と筋道を立てていたと思う。

写真は、テコマンテ・ベヌスタ(ノウゼンカズラ科:原産地ニューギニア熱川バナナ・ワニ園にて(2006年4月6日撮影)