バーゼル動物園(8月25日)

takibata2007-09-13

 バーゼル動物園は、スイス国鉄バーゼル駅の近くにある。大町山岳博物館の“山と博物館”のバックナンバーに、バーゼル動物園訪問記があり、「動物と親しみやすい距離」といった記述があり、よこはま動物園ズーラシアを想像しながら、行ってみようと思った次第。

 バーゼル動物園は、スイスパスが使えない。スイス国内鉄道・公共交通乗り放題のスイスパスには、スイス国内のミュージアムは入館無料という特典がついているのだが、動物園はダメ。バーゼルのマップ類のミュージアムリストにも、動物園は入っていない。察するに、スイスでは、動物園は、ミュージアムという分類に入っていないのではないだろうか。と、ここでまた日本の博物館法改正問題に思いを馳せる。ちなみに、観光案内所で貰った簡単な市内マップの裏面は、ミュージアムリストで、全部で35館上げてある。1館見ただけで、疲れ果ててしまうとは・・・。

 さて、バーゼル動物園、これがまたまたとても楽しくて、美術館疲れも吹き飛んでしまった。動物との距離が近いのは、記憶の中のズーラシアよりも、さらに自然な感じがする。柵が低く、腰や肩のあたりまで。動物と人間の間は、小川が流れるか、ちょっとした自然な感じの植え込み(低木・雑草状態で、実の成る木が多い)がある程度。アシカ(たぶん)のプールも背景に自然の岩を生かしている。そこここに、小さな展示室があり、動物たちの小屋、ガラス張りの部屋、鳥が飛んでいる部屋などがある。

 キリンのいる部屋は、いやに古風なヨーロピアンスタイル(というのか知らないが、そんな感じがした)。ライオンの親子も、ガラスを隔てて、すぐそこに見ることができる。

 バーゼル動物園は完全なバリアフリーで、ベビーカーや車椅子の家族連れが多い。トラムの低床がこうした外出を、ごく自然で気軽なものにしているのだろう。夕方までたっぷり楽しんで帰る。そうそう、写真に撮るのが気持ち悪くて撮れなかった巨大なヘビがいた。あんな太デカイ蛇(顔はそんなに大きくないのに、胴が異様に太い)を見たのははじめて。
 写真は、バーゼル動物園の泳ぐクマ(2007年8月25日撮影)。

【9月13日追記】
 件の記事を『山と博物館』のバックナンバー(第30巻第4号、1985年4月)を引っ張り出して確認した。内川公人さんという信大医学部寄生虫学の先生が書いた記事で、「欧米の動物園を巡って」というタイトル。随分、各地の動物園を見て回られたようで、文章も冴えている。以下、引用。

バーゼル動物園を訪ねたのは、ブロンクス園をみて間もない日だった。美しい動物を写真のように間近かにみることができ、しかも檻や囲いに代えて目立たない堀を巡らせているために開放感があって、動物たちに親しみを覚えた。はじめて出会った美しくて楽しい動物園であり、いつまでも良い印象が残っている。その後にみたフランクフルトやハンブルクの動物園からオランダの片田舎の小園に至るヨーロッパ大陸の動物園では、動物の展示法がバーゼル園のそれと同様であって、とても親しみやすいものであった。動物園が動物と観衆とが接する場であることを意識して、両者の距離を縮める努力が払われていることに感心した。