パウル・クレー・センター(8月26日)

takibata2007-09-14

 バーゼルからベルンに。ベルンの駅で迷う。変な場所に出てしまったので、まず、コインロッカーを探す。鍵式で5スイスフラン。小銭がなくて、また近くのカフェでジュースを買ってお金をくずす。スイス旅行では、小銭各種が欠かせない。

 次は、バス探し。バーゼル駅前が大々的に工事中で、バスもトラムも、駅があちこちに分散されている。方向音痴なので、バス停探しで30分近くロス。ようやく、見つけた12番バスのバス停。Zentrum Paul Klee行き。目の前でバスの扉が閉まり、慌ててボタンを押して乗り込む。途中、旧市街の坂道の両側のホテル街が素晴らしい。やがて、息をのむような青い河に、曲線カーブの橋が架かる。向かい側に、オレンジの屋根のベルンの町並み。世界遺産になるだけのことはある。このバス路線、バーゼルの見所を次々通っていくので、お勧めのコースだ。やがて、小高い丘、興ざめな高速道路をはさんで、牧草地が続く。奇抜なデザインの、パウル・クレー・センターが姿を現す。手前に、しゃれた高級そうなレストラン。

 パウル・クレー・センターは、地下が常設展、1階に、企画展スペースと、ショップと、レストラン・カフェ。企画展は、“Uberall Theater”(Theatre here,there and everywhere)。

常設展のほうは、普通の壁の展示室だったが、企画展は、壁面が林立していて、どこまで見たか分からなくなりそうな、へんてこりんな展示スペース。奥に大きな映像スクリーン、中央に、Handpuppeの数々。両サイドの壁面に、クレーと劇とのかかわりを示す資料が展示されている。クレーは、よくよく歌劇に通ったようだ。人形劇のセットや復元映像も(ワニが出てくるお話)。チャップリンの“The Circus”(1928)。はじめてみたが、おかしくて3回くらい見る。3分間の短い映像だ。Kurt Schmidtの“Mechanisches Ballett”(1923)という映像もあって、この時代の空気を伝える。で、肝心のクレーの絵はだが、クレーもずいぶん多くの作品を残していて、こうして特別展を見ると、彼の抽象画が何もないところから理念的に生まれたというよりは、様々なスケッチや、当時のオペラ、指人形など、現実世界での見聞が大きな影響を与えているのではないかと思わされた。解説文はドイツ語とフランス語のみなので、まるで読めなかったが。

 地下1階に、チルドレンズ・ミュージアムの“Creaviva”。スタジオ3つと、そのスタジオの外側の広いガラス張りの空間。着せ替えの衣装や化粧セット、記念撮影のセット、プリクラ、そして、頭にかぶる細工ものコーナー。10人弱の子どもたちが被り物を作っていた。頭にかぶる薄いゴムに、テープなどを貼り付けて、オリジナルかつら(?)を作る様子。指導スタッフは、ありがちな若い女性。いやー、日本のチルドレンズ・ミュージアム系の本に紹介されているそのものみたいなつくり。クレーの作品は、確かに、こういうの向きなんだろう。美術館教育もへったくれもないように思うが、子どもにとっては、楽しいのだろう。

外の見えるガラス張りのカフェレストランで、キャロットケーキを食べる。外の伸びやかな草色の景色を見ながら、随分無理したが、スイスまで来てよかったと思う。

バス停に向かう。赤い車体の写真を撮っていたら、運転手さんが写真を撮ってくれた。
写真は、パウル・クレー・センターの子どもミュージアム、Creaviva(2007年8月26日撮影)