[日常]1年の終わりに

takibata2007-12-31

 とうとう大晦日鳴かず飛ばず、窓際ライフを満喫した1年だった。最大の挫折は、この年末年始に論文を書くのを諦めたこと。就職2年目から、毎年、この時期に論文を書いていたので、ものすごい挫折感がある。原因は、夏休みにスイスへ行ってしまったのと、あまりにも大量の一次資料の存在に気づいたためである。知ったからには、これを無視して書くわけにはいかない。しかし、授業のある期間には、調査もままならず、休みはどんどん短くなるし。というわけで、虚しい年の暮れだ。

 今年楽しかったのは、3月に行った韓国と、夏休みに行ったスイス。韓国では、河回仮面博物館と河回村が強く印象に残る。
 スイスで感心したのは、鉄道の線路。道路面と同じ平面で、列車が走っていない時は、普通に線路を跨いで歩ける。階段の上り下りがないので、バリアフリーだし、個人の責任が徹底しているところが気持ちよい。それに、線路が湖とか川の水際ぎりぎりを走っている。大雨になるとすぐ水没しそうだが、水没しても別に構わないと思っているのだろう。大概、1日くらいで復旧するようだし。日本社会は異常なまでに“責任を問われたくない”あるいは“他者に責任を転嫁する”体質なのでは? と思ってしまう。それと、日本人だけ団体旅行なのが異様。あとは、生まれてはじめて見た氷河! に大興奮。氷河の先端ってどうなっているのか、で車窓にへばりついて見ていた。

 旅行から帰って来てからは、具合が悪く、苦しんだ。帰国後すぐの学会発表は、明らかに不出来。徹夜のおかげで時差ボケには悩まされずに済んだが、だんだんウツ状態に。授業に行くのは平気なのだが、休日に外出するのが極端に苦痛になった。会議が特にいけない。余計な発言をして会議を長引かせ、あとで自己嫌悪に陥るパターン。このままでは、本当に病気になってしまうと思い、一旦は引き受けた会合から降りさせていただいた。ご迷惑おかけしました。

 気分が好転したのは、冬になってから。佐藤可士和さんの本や、岡田斗司夫さんの本を読んだことが遠因になって、To-doリストを作り、前倒しで細かい仕事を片付けていった。ただし、次週のプリントの印刷手配を抜かりなくして、いざ、教室に入ってみると、あれ、先週何配ったっけ?みたいなマヌケな話も。体重のほうは、体重計の下に蚊取り線香のケースが噛んでいるのを息子が発見、大幅減量は幻と消えた。それでも、3キロ位は減った。

 というわけで、年末。最後に、嬉しかったことというか、お礼を。岡本真さんが、“ACADEMIC RESOURSE GUIDEまぐまぐ!”に、このブログのことを取り上げて下さった。これにはびっくり。“ACADEMIC RESOURSE GUIDE”は、昔、大阪市立自然史博物館の研究をしていた時に、偶然、佐久間大輔さんの記事を見つけて、佐久間さんの筆力にも驚いたが、この岡本真さんが発行されている媒体にも驚いた。その後、梅田望夫さんの本を読むうち、ネットに対する否定的な感情が払拭され、現在に至っている。相変わらず、HPは開設できていないが、電子収蔵庫としての非公開はてなダイアリーも作ったグループウェアはある集まりで提案して、何人かで試みたが、参加者全員がはてなに登録が必要なのと、非公開設定は無料ではできないことがわかり、お預けになっている。
 話を戻そう。岡本真さんは、「個人が研究の過程を伝えることの意義」の最近の具体例として、「今、問われる 文化施設の使命とは」の連載を取り上げて下さっている。いや〜、実はメインの研究の過程はほとんど書けないんです・・・今日、個人的に聞いたことを公開してしまったら、誰もビビッて私に話をしてくれなくなると思うのです。公開とプライヴァシー保護のせめぎ合いですね。論文書く苦しさも、根源は同じで、相手が現存の方々や現存の館(!)だと、どこまで、どういう立場で書くか、非常に悩みます。
 あと、岡本真さんは、博物館法改正の話題も取り上げて下さった。そして、自宅に引きこもっていた私が、検索をかけて見つけたのが、別のこの方の記事。速報、ありがとうございます。

 写真は、「おおまち市議会だより」No.127に掲載のイラスト(本会議の中で個人質問した議員さんが、質問内容に関連のある写真かイラストを入れる枠をもらうようです。よくできた議会だよりです。でも、この船の下の文字、「大阪府は」に変えて読まないといけないですね。大阪府民、真っ青の年の暮れです)。