琵琶湖文化館の休館ほか

 今朝の日経新聞(朝刊)「文化往来」欄に「休館に揺れる滋賀県琵琶湖文化館」という記事が掲載されている。以下、引用。

 仏教美術の優品を所蔵する滋賀県琵琶湖文化館が、休館の危機に揺れている。昨年県が、今月三月三十一日を最後に公開中止の方針を発表。財政悪化が理由だが、主に寺社から寄託された国宝十七点、重要文化財百九十八点を含む五千点もの文化財を預かる博物館が活動休止に追い込まれた例はなく、美術史学会や博物館関係者は適切な形での存続を訴えている。
 同館は一九六一年に開業。建設費の六割が県内外の文化人や仏教各派トップらの協力による募金で賄われ、市民主導で誕生した公立施設だった。その後、人気を集めた水族館が新設の琵琶湖博物館に移るなどしたため、最高時二十八万人だった年間来館者は二万人ほどに減少。冷暖房設置やバリアフリー化の予算もつかないまま老朽化が進んでいた。
 当面は収蔵庫として残る予定だが「博物館は公開あっての施設。今後、寄託者が文化財を引き上げかねない」と宮本忠雄館長は言う。国の財産を自治体に委ねてきた格好の文化庁も、初めてのケースに戸惑う。「文化財保護のあり方を根本から考えさせる事態」と同庁の奥建夫文化調査官。「滋賀を皮切りに、より苦しい自治体に休館の動きが広がるのを心配している」。成り行き次第では国が対策を迫られることになりそうだ。
日本経済新聞、2008年3月14日)

 最近、新聞が頑張って博物館の応援記事を書いてくれている。昨晩の朝日の夕刊は、大きなカラー写真入で、大阪府立狭山池博物館を紹介していた。昨日の朝日の朝刊の、木津川計さんの「橋本府知事殿 ここらで一息入れて下さい」も、へ〜こういう文章の書き方があるのか、と思った。
 3月11日の日経では、「近代建築で美術体感──大阪でアート・カレイドスコープ展」を紹介している。松井紫朗さんの作品のカラー写真入り。記事の最後は、以下の記述で締めくくられている。

 アート・カレイドスコープは来年、府や市、関西経済界などが主催するイベント「水都大阪2009」の1つとして継続する予定だった。ところが橋下知事がこのイベントの見直しを示唆し、関係者の間に動揺が広がった。
 また、知事が見直しを進めている府営施設の中には、現代美術センターも含まれている。同センターは広報誌の発行や、毎年続けていた海外の芸術家との交流事業を棚上げにしている状態だ。2004年に始まって、ようやく軌道に乗り、知名度も高まりつつあった矢先だけに、先行きが気にかかる。
(大阪・文化担当 関優子)http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003078.html