世界史の教科書のことなど

 ようやく長い1週間が終わった。科研の書類は月曜の晩に送信して、あとは事務職員さんのチェック待ち。大町の原稿は、昨日の朝、最初の1ページを書いて、共著者に送った。残るは、目録の校正。それで、授業の準備をしていて面白かったこと。
 テキストに、ルノワール「浴女たち」(The Bathers,1887)と、ピカソ「アビニョンの娘たち」の比較が出てきた。ルノワールの作品の解説が面白い。
 “their various poses allow us to see all views of female body―a device that highlight their sensual appeal”とある。なるほど、前から、横から、後ろからも見られるのか・・・。
 一方、ピカソの作品に対しては、「売春婦かと思わせるような大っぴらな性」と書かれている。私には、どう見ても、ルノワールの絵のほうが、スケベに見えるのだけど。
 それはさておき、楽しんだのは、ドイツのアーヘン大聖堂と、イタリア、ラヴェンナのサン・ヴィターレ大聖堂の比較。
 どちらも集中形式と呼ばれる平面図なのだが、サン・ヴィターレ大聖堂は、カーブのあるエクセドラ(弧状柱廊)、モザイクの装飾、階上の窓からの大きな光が、動きに満ちた空間を作り出しているのに対して、アーヘン大聖堂は、平たく直角の支柱、頑丈な多角形、堂々としたアーチで、重くどっしり感じさせるのだという。
 字面だけ読んでいると何のことかさっぱり分からないのだが、今は、ネット上で様々な画像をすぐに探せる。
 上にリンクした五十嵐太郎さん(10+1の?)のフォト・アーカイブズなど、すごい見つけもの。
 さて、テキストの方は、「アーヘン大聖堂は、カロリング朝の人たちが、ローマやビザンチウムからの理念を、ゴシック期に至るまでの中世ヨーロッパ建築を形づくる北方の美意識へと変化させた方法を示している」とか書いている。これもちんぷんかんぷんなので、世界史の教科書を引っ張り出して、索引で「ゴシック様式」とか「ビザンツ様式」とかを引いてみると・・・何と、山川の世界史B(1996年)に、「ロマネスクとゴシック」という囲み記事がある他、ビザンツ様式のページには、ハギア・ソフィア大聖堂と並んで、「ラヴェンナの聖ヴィターレ教会」の名が、本文に出ているのだ。おまけに、口絵のカラーページには、ビザンツ様式「聖ヴィターレ聖堂のモザイク画」と、ロマネスク様式「ピサ大聖堂」、ゴシック式「ケルン大聖堂」、3枚のとてもきれいな写真が載っている。へえー、高校世界史で習っているんだ・・・私もなぜか、アンダーラインとか引いているのだが、はて?なんで1996年頃に、世界史の教科書を勉強したのだろうか? 思い出せない。勉強した内容などは、全くもって、覚えていない。でも、口絵写真だけでも、すごいセレクションだな、と一人で感動した。
 さて、こんなサイトも見つけた。サン・ヴィターレ(増田建築研究所) きれいだな、行ってみたいな・・・ここに書いておくと、いつか夢は実現すると思うので、書いておくことにした。