今日は空いていたICA

 ウォータルー駅で一応解散、これで寮に帰ってワインを、と思っていたが、ふと気が変わってチャリングクロス駅で下車する。ICAがまだ空いているはず。
 ICAの有料コーナー(土曜は£3)を入ってすぐのLower Galleryに足を踏み入れてびっくり。
以前、東京のギャラリーで見た日本人アーティストの映像作品を流している。「私が言うのはいつもあなたと同じこと」「私が言うのはいつもあなたと反対のこと」この2パターンを向き合った2台のモニターで延々とくり返す作品である。東京で見たとき、すかさず駄作、と思ったのをロンドンで見るとは。
 「私が言うのは」私が話したいことを語ればよい。何か、こういう作品はとても嫌なのだ。
 Digital Studioでは、“One Minutes:Viewpoints on the World”という特集があり、各国のビデオアートが次々と見られるコーナーになっている。日本と中国の作品は一台のモニターで流されている。日本人の作品ではKyoko Inamoto の、フラワーパークでビデオ撮影に興じる人々の姿を、つぎつぎと画面を融合させながら切り替えていく作品が映像表現としては面白いと思った。
 中国人作家の作品では、“バルーン”という作品が秀逸。スーパーの買い物袋を提げた人々の姿を撮影したものを天地逆にすると、買い物袋がまるでバルーンのように見える、というもの。これはアイデア勝ちだろう。
 一番強烈だったのは、ユーゴスラヴィアの作家の“I hear nothing”という作品。片耳を黒糸で縫っていって、最後はくもの巣状にしてしまうもの。痛いっ!とヘッドホンを手で押さえながら、こわごわ見てしまった。
 クローズの時間が来て、デジタル・スタジオを追い出されてしまい、Upper Gallalyも見れずじまい。ICAのバーでビールを飲んで、ショップに寄る。アート系の書籍が充実しており、とても一度では見切れない。来年度の講読の授業に使えそうな本を何冊か買って帰る。
写真はICAの入り口。