ホワイトチャペル・アート・ギャラリー/ホワイト・キューブ

ホワイト・キューブ

 今日は明日のサッカーチケット取りのお手伝い(1人につき6枚までしか販売してくれないらしい)のあと、オールドゲート・イースト駅下車すぐのホワイトチャペル・アート・ギャラリーへ。Albert Oehlenという人の展覧会をやっているが、特に印象に残るものではない。
 2階にちょっとしたcafé/barがあり、ここで、Late nightsという音楽ライブや詩の朗読、パフォーマンスなどが行われるらしい。エデュケーション・ルームもあり、基本的に子ども、ヤング、教師向けプログラムなどは参加無料。ローカル・リンクスというプログラムもあり、local community groupsやsocial service agenciesなどが展示をめぐってアーティストと議論したり、クリエイトするワークショップに参加できるとのこと。
 またパンフレットには、Educationという項目とは別立てで、Talks and Eventsのプログラムがある。こちらは、例えば、“アーティストと観客と組織の生き残り戦略”といったディスカッションのようだ。この他、フィルムプログラムがある。エデュケーションとその他、の棲み分けの基準はどこにあるのか、いつも気になるところである。
 小さいながら充実した本屋があり、安売りコーナーもある。グッゲンハイム美術館の“Singular Forms”定価30£が8.99£とか。
 次に、オールド・ストリート駅から徒歩8分というホワイト・キューブを目指す。駅を降りてもさっぱり道が分からず、詳しい地図もないので、4人に道を聞きながら、ようやくたどり着く。ホリデイ・インが目印で、その裏にホックストン・スクエアという不思議な小公園があり、周囲はバーやcaféなど。公園に面して3階建てのしゃれたホワイト・キューブがある。
 1階のメインギャラリーはDark Matterという展覧会で、複数の作家の黒い作品ばかりが展示されている。おかしかったのは、Felix Gonzalez-Torresの作品で、床に長方形の黒い平べったい物体、と思って見ていると、3人連れの若い女の子の一人が近寄ってきて、さっと、作品の上から1枚だけ、黒い画用紙のような大きな紙をめくりとって、持って行ってくるくると巻いてしまったのである。あとでチラシを見ると、素材はBlack paper,endless copiesとなっている。寮に帰ってから、安売り本の“Singular Forms”を開けてみたら、おなじ作家の白い紙の作品の図版が掲載されていた。いずれも1991年。本のは、まさに紙の層と分かる断面だが、床に黒い大きな塊を作られると、紙とは気づかない。ああやって、観客は紙を好きなように持って帰っていいのかな? 
 2階では、Damian OrtegaのConcrete cube(black)という作品。これは、特に驚くこともない。
 少し疲れたな、と思うもののまだ時間があるので、ナショナル・ギャラリーのショップに寄って帰ることに。こちらも前回買い損ねた図録や絵葉書やら何やらを買い込み、ハウツー本的なものもあって、つい出来心で、“A Survival Guide for Art History Students”(2005)という本を買う。試験問題とかエッセイの書き方とか、調査の仕方とか、ミュージアムのお仕事みたいな項目も。
 写真は、道に迷ったあげく、ようやくたどり着けた記念にホワイト・キューブを。