自然史博物館(サウスケンジントン)

takibata2006-08-16

 この博物館、名称からして不敵なのだが、ロンドンという地名は入っていない。われこそは、なのであろうか。どう評価していいかわからない博物館である。
 哺乳類の展示は、剥製がたくさんガラスケースの中に納まり、子どもにも分かりやすい解説パネルがあり、明るくて好感が持てる。もっとも、ハンズオン系展示は、子どもたちはあれこれ触って楽しそうではあるが、どこまで学びにつながっていることだろうか。ボタンがあればとりあえず押してみたい、の域を超えていないように思う。
 行列の出来ている恐竜の展示室に入る。これは明らかに設計ミスである。夏休みで、子ども連れでごった返しているのに、中二階の歩道橋のようなところに登って、天井から吊るされている恐竜の骨格標本や、動くロボット恐竜を見る仕組みになっている。とにかく人が多くて、赤ん坊は泣くし、行列は進まず、展示を見るような気分ではない。歩道橋に上がってしまうと、逃げ道がないため、無益に行列に耐えねばならない。
 「這い回る虫の部屋」などがあるが、大きなパネルや映像資料を用いて、大味な展示である。「Plant Power」の部屋などは、はて?というような大型写真パネルだけである。
 化石類は、ふんだんに壁に展示されているし、鉱物の部屋なども、棚にこまごまと実物資料が展示されている。
 一番面白かったのは、昔の鳥の展示。1881年、一番初めにこの自然史博物館のセントラルホールに展示されたそのままの展示とのこと。鳥の広げた羽や、尻尾や、頭部が、その細部の名称ラベルとともに、几帳面に展示されている。こういうのが、やはり博物館の展示だよな、と思ってしまう。
 しかし、館の大半は、リニューアルされたハンズオン系展示である。パネル等の英語をいちいち読んでいられない、というのもあって、つまらないのかもしれないが、日本の博物館でも、熱心にパネルやキャプションを読むのは最初だけだから、おそらく、ロンドンの人たちも、行き当たりばったりで、触ってみたり読んだりするだろうが、全部読んだり理解するのは、あの量、大きさではきっと無理だろう。
 興味深く見たのは、人類の進化を扱った小コーナー。これは内容になじみがあるせいか。
 ショップで、マニアックな本の一角を見つけてしまう。旅行書のコーナーなのだが、アフリカとか極地とかのガイドブックが並んでいる。で、これまた出来心で、Footprintというシリーズの南アと、Bradtというシリーズのマダガスカルの旅行ガイドと、同じくBradtの『マダガスカルの野生生物』というガイドブック、計3冊を買い込み、すっかり幸せな気分になる。帰りに、屋外のワイルドライフ・ガーデンに寄ろうと、大急ぎでショップを出たのだが、警備員さんに、明日またおいで、と言われてしまう。こんなことばかりだ。
 写真は、自然史博物館の剥製ライオン君。