みやぎ県民大学自主企画講座(2)

takibata2006-11-02

 昨日の続きを。講座は、関口さんの司会で始まり、関口さんからの「宮城県美術館は、美術館全体の空間を吟味して建てて、今に至っているが、企画展を見るだけの使い方ではなく、それ以外の美術館の楽しみ方は徹底していないかなと思う。美術館には素材がたくさんあるのに、商品開発、どう見せていくか、流通、告知の仕方が変わっていないのかな、と思う。おじいちゃん、おばあちゃんになっても使える美術館の使い方を触れまわって欲しい、うまく使って欲しい」というメッセージ。美術館の北庭に面するテラスに出ての、コモモちゃんのパフォーマンス。
 その後、映像室に戻って少しのお話。関口さんからの「常設展示で、好きな絵はある?」という質問に、その場にいる皆は少し返事に戸惑う。それは、この質問を聞けば、すでに宮城県美術館のファンならば、さまざまに脳裏に浮かぶ言葉があるだろうからだ。
 私は、酒井さんの開館前の新聞インタビューを思い出した。

 「好きな作家は」と尋ねると、「個人的に好きな作家はいますが、できるだけ偏見をなくし、様々な作品の良さをできるだけ理解するのが仕事です」と筋金入りの美術館員の答えが返ってきた。(日本経済新聞東北地方版、1980年5月24日 人・ひと 酒井哲朗氏)

 それで、この質問を振られた有川さんは、どれか一つというのは答えられないが、収集や展覧会がらみで懐かしい絵はある、といくつかのエピソードを語られた。齋さんは、「50過ぎてから、好きな絵はなくなった。普及部でやっていると、好きな絵を離れて、全体をみなさい、ということをやっているから、好きな絵がなくなってきて、勝手なこと考えて、嫌いな絵がなくなった。みんな一生懸命、絵を描いていて、子どもが愛おしくなるのといっしょだね」と語られた。
 その後皆で、常設展示室に、(なぜか、好きな絵・作家としてあげる人が多かったからか?)、松本竣介の「郊外」1点だけを見に行くことになった。【以下、続く】
写真は、円通院境内(松島町)