全史料協研修会(岡山大会)

takibata2006-11-08

 全史料協研修会で岡山に行く。http://www.jsai.jp/taikai/okayama/index.html意見交換会の報告者として呼んでいただいたのだが、イントロの準備がなかなかうまくいかないまま、本番を迎えてしまった。
 与えられたお題は、「文書館を取り巻く『今』」で、「周辺領域から見る指定管理者制度の動向と課題」とサブタイトルをつけた。会員の皆さんの意見交換の起爆剤になればいいと考えていたのだが、どの程度、お役に立てただろうか。
 個人的には、地方交付税の問題に現在関心があるので、昨晩も白川一郎『自治体破産』(NHKブックス、2004)を読み直して、イントロ部分の勉強をしていた。この本の62-66頁は、地方交付税制度を、たいへん平易に説明してくれている。それに、地方自治体の財政赤字解消との関連で考えられる二つのシナリオ(p.47-53)も、とても参考になる。

増税による財政赤字の解消
「日本の場合、国民は増税負担によって、これからの生活水準が向上することなど何ら期待できないのである。国民負担の増大によって支払われるのは、過去の累積赤字に対する支払いだからである」
② インフレによる財政赤字の解消
「インフレというのは、幅広く強制的に増税することと同じである。・・・高齢者の多くは、年金とこれまでの蓄えによって生活を支えている。インフレによって最も大きな打撃を受けるのは、こうした高齢者である。・・・経済政策の公正さという観点からも、インフレによる財政赤字解消策は最も避けて通らなければならない選択肢の一つと言えよう」

9月の社会教育学会大会での雑談で、私は①案、某先生は②案しかないんじゃないか、とか言っていたのだが、白川さんの本を読むと、①も②も否定されてしまう。とすると、やはり白川さんが書かれるように「改革なくして増税なし」なのだろうか。
 で、そんな話を全史料協で話すわけにもいかず、地方財政の硬直化のところは、さらっと(?)早口で流してしまった。
 個人的に、今回調べていて、興味深く読んだのは、前田章夫「日図協運営と図書館員の『2007年問題』」(図書館雑誌2006.8.)。日図協は施設会員と個人会員によって構成されるそうだが、公立図書館の職員総数は、定数削減や非常勤職員化等によって年々減少しているという。ここに、団塊の世代が一斉退職を迎える「2007年問題」が重なり、退会者が増えることが予想され、2007年問題は日図協の組織問題としても避けて通れない問題だというのだ。
 今日の私の報告では、図書館、博物館、埋蔵文化財センター等、関連領域での組織的対応の動向を簡単に紹介させていただいたが、意外なことに、部外者からは充実した組織に見える全史料協が、業界団体として、指定管理者制度に対してまだ何も意見表明していないことを知り驚いた。でも、公文書館指定管理者制度とは、私など今回の報告者依頼を受けるまで、考えだにしなかった組み合わせだったので、対応が遅れているのもむべなるかなではある。
 私のレジュメは別として、全史料協研修会のテキストはとても充実している。2年分いただいたが、読ませていただき、大変勉強になった。また今回の研修会では、お名前やご活躍ぶりだけ存じ上げていた方々にご発言いただき、とても嬉しかった。

写真は、岡山市内の路面電車。県庁前から岡山駅までは100円で、本数も頻繁にある。