意見の下書き(3)

続きを。

第4章 学芸員制度の在り方について
 2 学芸員制度の見直し(続き)


(3)の2 「大学院における専門課程」の項においては、「博物館制度の実態に関する調査研究報告書」を引用して、「新任の学芸系職員に期待される資質・能力」として「資料に関する学術的知識、調査研究能力」(32.6%)が最も高く、次いで「資料収集、整理、保存の具体的技術、方法」(20.2%)と記され、「新任職員であっても、研究能力と実践的な技術を兼ね備えた能力を有することが求められている」と記されている(pp.16-17)。
その一方で、第4章1の(2)の1では、「利用者全体の約3割から4割が学芸員に対し、『学習相談に応じること』(36.4%)、『コミュニケーション能力』(43.4%)が不足していると回答しており」と記述され(p.14)、博物館側(学芸員を採用する側)と利用者側のニーズと認識にずれがあることが露呈している。
  ところが、「中間まとめ」では、海外の学芸員養成制度の話に移ってしまい、日本での問題のありかが、掘り下げられていない。察するに、従来、日本の博物館の専門職は、「学問的能力」あるいは「ものの取り扱い技術」を最優先し、教育普及活動を、二次的なもの、専任でなく非常勤職員等でも間に合うものとみなしてきたのではないだろうか。欧米諸国の「インターン制度」に話をすり替えるのではなく、日本の多くの学芸員の専門タコツボ化を自己点検するところから始めるべきではないだろうか。


(4)の1)「大学での基礎課程」の項  教員免許状、社会教育主事となる資格、図書館司書など隣接分野の資格制度とのバランスを考える必要がある。また、資格取得は学生たちにとって、学習の動機付け効果があり、広範な社会的文脈から考えたとき、若い人たちに学ぶ意欲を持たせ、学習機会を提供することは大切なことではないだろうか(これは、他の資格も同様である)。
 むしろ問題は、現職学芸員が、博物館に採用されながら、専門職にふさわしい待遇を得ていなかったり、人員の慢性的不足から過重労働を強いられがちなことであろう。こうした現状に対する不満が、学芸員養成制度への不満にすり替えられていないだろうか。学芸員養成制度の充実は必要だが、まず行うべきことは、設置者側の意識改革ではないだろうか。(以下、続く)

 このあと第5章は、「中間まとめ」の起草者も力尽きて途中までしか書けていない印象を受ける。もう少し、内部で推敲してから公表してもよかったのでは?と思う。こういう状態で、意見募集と言われても・・・と思うのだが、何とか明日書こう・・・