「貧困は博物館へ」

takibata2007-04-29

 床に溜まっていた新聞を片付け、気になっていた、グラミン銀行総裁ムハマド・ユヌスさん(2006年ノーベル平和賞受賞)へのインタビュー記事の連載(2007年4月16日〜4月20日日経新聞夕刊)を切り抜いた。連載のタイトルは、「貧困は博物館へ」で、最初にこのタイトルを目にしたときには、ぎょっとした。ユヌスさんについて、“受賞をバネに「貧困を博物館へ」と世界へ貧困削減の具体策を取るよう一段と訴えかけを強めている”と連載の最初に記されており、最終回には、次のように書かれている。

貧困について、私は人間の意志さえあれば遠くない将来、博物館だけで見ることができるもの、つまり過去の出来事にすることは十分可能だと思っています。その時に向け、あらゆる努力を続けたいと思っています。

 世界には、コミュニティーミュージアム等、貧困の解消に向けて努力をしている博物館も存在するだろうと思うのだが、ユヌスさんの目には、博物館はそのような施設にもなりうるとは映っていないようで、残念だ。日本の文脈に置き換えると、例えば定職のない若者支援などに取り組む博物館が出て来ないだろうか。博物館の存在意義の一つとして、そういう選択肢が積極的にあってよいと思う。
 写真は、フランスのクルーゾ・モンソー・レ・ミーヌ・エコミュゼの“れんが工場”。1967年に操業停止になった工場の一部が公開されている。Ciry-le-Noble駅から徒歩20〜30分の運河沿いにあり、若者を対象にした失業対策事業(The A.F.P.A.school-yard)が実施されてきた。写真は2003年9月6日撮影。