横須賀に来た!

takibata2007-05-23

 4月28日にオープンした横須賀美術館を訪問した。浦賀発12:51の観音崎行き京急バスに乗り込む。一番後ろに座っていたら、地元の女性たち3人のお話がすぐ横で始まった。

・ 母の日に行ったら、全然すいてたわ〜。最初は混むと思ってみんな行かないのよね。もう少ししてから行こうと思うのよね。部屋は3つあって、谷内さんのと、近代美術館のと、それぞれ別々だけど、最初は、全部見たいでしょ。絵は変わるのかしらね。
・ あんまり変わらないんじゃない? 借りてくるのにもお金がかかるのでしょ?
・ あそこは大変よね。横浜美術館とかあるしね。
・ 建物だって、何でできたのかね〜。あそこは桜がきれいだったのにね。
・ 汐入までバスできたでしょう? あれ、2箇所くらい途中で止まってくれたら、だいぶ楽になるのにね。
よこすか芸術劇場も、赤字なんでしょ。あそこ、音楽とか聴くんだったら、舞台が見えなくてもいいかもしれないけど、横からだと舞台が見えなくて大変。あれだったら、文化会館の普通の正面から見える舞台のほうが・・・。

 彼女たちは連れ立って、鴨居で降りて行った。(よこすか芸術劇場は、国内最大の本格派オペラハウス仕様なのだが、“おかあさんといっしょ”の収録などにも使われているのだ。)

 今日はお天気がよくて、観音崎は緑が美しい。歩いて5分もしないで横須賀美術館に到着。浦賀からのバスも、昼間でも1時間に6本あり、バスで10分程度なので、それほどアクセスが悪いとは感じない(アクセスの問題は、何と比較するかで難しい)。むろん、日常的に使う場所ではないだろうが。

 美術館は、前面のレストランのところに人が多い。あとは三々五々程度の人の入りか。日博協の会員証は使えないと言われ、900円で3つの展示の共通券を買う。まず、開館記念<生きる>展から。石内都さんの写真が最初は、きついなあと思う。その奥が、石田尚志さんの作品で、奥から出てきたおじさんが、“むつかしいもんだ、分からない”と話かけてこられた。奥のガラス張りの部屋に、石田さんの映像作品があるのだが、ガラスの向こうのショップの人の動きや、ワークショップ室や、外の海岸の景色、それに監視員さんが気になって、映像になかなか集中できない。

 ヤノベさんの作品は大きいがあまりインパクトがない。さらに進んでいくと、壁が一部壊れていて、早くも誰かものを当てたかと思うが、それは木村太陽さんの作品だった。「噛まれた角」というタイトルで、ご苦労なことに、木村さんはその壁を本当に噛んでいったらしい。ふと、PS1で見た過激な作品を思い出し、まだまだスケール小さいよ、とかつい思ってしまうのだった。それでも、この開館記念<生きる>展の中では、木村さんの「Despair Came Knocking」が、私には一番面白かった。なにか取り出した心臓のような手作りの布の塊が、センサーで動くのである。

 開館記念特別展「近代日本美術を俯瞰する」では、「近代日本画の展開」のところが一番見ごたえがあった。小林古径の「極楽の井」が印象深い。あとは、安井會太郎の「承徳喇嘛廟」という作品。
 昨日書いたことが気になって、ついつい、天井のライトを見てしまう。5メートルはありそうな高さの天井にライトがあるのだが、あとで気づいたことだが、横須賀美術館では、ライトはガラス張りの内側にある鋼鉄のスキン(?)の上から、メンテナンスができそうだ。

 谷内六郎館。思いのほか、谷内さんの作品を見るのは楽しかった。平面的と思っていた表紙絵の原画は、コラージュ等で凹凸に富んでいたからである。

 レストランの屋外のカフェで一休み。屋上に上って、海や船を眺める。
 館を出ると、貸しボート屋さんが目の前にあって、階段を下りると、すぐ海岸なのだった。帰路は観音崎から横須賀中央までバスで。運転手さんに「美術館が出来てから人、多くなりましたか?」と聞いてみた。「増えましたよ。予想より多かった。土日だけでなく、平日も多い」とのこと。馬堀海岸を経由して、横須賀中央駅まではバスで約30分。このバスは、1時間に約3本。(市が公表している来館者数はこちら)

 そうそう、大事なことを忘れていた。図書室の匠文庫が面白いのだ。匠さんの傍線や、書き込みがそこここに見つかる。本の背のしわを見れば、どの本が実際に読まれた本か、おおよそ見当がつく。館内で偶然、H先生にもお目にかかることができた。

 夜はフジノさんのカフェトークに。その後の市の動きなどを教えていただいた。

 写真は、横須賀美術館(2007年5月23日撮影)。