宇都宮にて

 日本社会教育学会六月集会で宇都宮に来ている。朝、出掛けに、ショックなことに気づいて、(これは、家のこととかではなくて、論文絡みの件です。)そんなときに限って、新幹線に乗らなくてはいけなくて、という状態のまま、夜になってしまった。調査をすれば、いやでも、生きた方々に出会い、自分が論文を書いたりお話を聞いたりすることで、何かが変わっていく。


 宇都宮の学会での、聞きたかったことだけ、その回答も含めてメモしておきたい。
プログラムはこちら。http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssace/conference07.html
 今日は、1.プロジェクト研究「コミュニティ学習支援専門職と専門職大学院の構想」と、2.特別シンポジウム「社会教育・生涯学習関連職員をめぐる現代的課題」の2本。資格の高度化と、法改正ということで、博物館法改正問題とも関連するのでは、と、まじめに出席した。

 報告者の発表のあと、質疑応答の時間に、とにかく気になる点を質問用紙で質問した。
1.では、専門職大学院構想が、社会教育法改正と絡んで、社会教育主事資格の高度化につながるのかどうか?を質問した。報告者とプロジェクト研究の代表からの答えは、今の資格の現状を温存していては、立ち行かなくなる。かと言って、今の各大学の状況では、高度化には、対応できない。(社会教育が専門の教員が1人しかいない・・・)個々の大学としては厳しいから、大学を超えた大学院を。大学には、1人しかいないけど、複数大学でコラボを組んで、専門コースを実現していくというのが展望。現職の(再教育の)ための大学院を立ち上げ、成果を学部におろしていく。プロジェクト研究の関係者はそう考えている。制度・資格の再構築、チャレンジする意味はある、チャレンジすべき時期だと考えているとのお答えだった。

2.では、当初予定されていた、文科省の担当者は、政治状況があって、学会等での発言は無理ということになり、代わりに、国立教育政策研究所の笹井さんがお話くださった。とりあえず、私自身の切実な質問と、それに対する(文科省の、ではなく、あくまで個人としての)お答えだけ記したい。

Q 社会教育法改正のスケジュールを文科省はどのように考えているのか?
A 平成20年度に法改正が具体化すると思われる。中教審の分科会の答申が、今年後半出て、それを受けて年明けから法改正の実際が始まる・・・というのが、普通の行政職の感覚だが、現在は流動的で分からない。
Q 図書館や博物館のような「検討協力者会議」を設置する予定は文科省側にあるのか?
A 社会教育法については今のところない。ただし、博物館法の検討協力者会議の提言の動向は、社会教育主事(養成)に影響を及ぼすかもしれない。パラレルに考えられる。
Q 文科省としては、資格の高度化を検討しているのか?
A 主事資格の高度化については、文科省は主事制度堅持の方向だが、社会教育主事(養成)の空洞化克服は、文科省が悩んでいるところ。学芸員制度については、高度化の議論が出ているが、シニア(社会教育主事)とかよりは、現行社会教育主事でやっていき、大学院に何年、というふうには考えていない。ただ、実践的な経験は、現行プロセスでは無理。シニア、上級資格は、現行大学院レベル・・・

 とりあえず、私の質問は以上。予想以上に、みなさん、仕事がなくなるという危機感には駆られておられないようだ。