ラウンドテーブル報告

 学会通信用に、先の日本社会教育学会六月集会ラウンドテーブル2のまとめを書いた。毎度のことながら、字数制限があるので、つめつめに短く書いている。

芦屋市立美術博物館の現在と市民利用施設の未来


 報告者:藤本隆(NPO法人芦屋ミュージアム・マネジメント/大阪市教育委員会
 コーディネーター:瀧端真理子(追手門学院大学


 芦屋市立美術博物館の一部業務を受託するNPO法人芦屋ミュージアム・マネジメント事務局次長で、本業の大阪市教育委員会事務局では社会教育施設の指定管理者募集・指定後の監督業務を担当した藤本隆さんをお招きし、芦屋市と大阪市が共通して抱える課題をご報告いただいた。


 指定管理者制度への移行に際し自治体側には、本来の施設の設置目的を実現するために制度設計をする政策法務能力、指定管理に出す業務の切り分け、建物管理や事故に対する自治体の責任の自覚、指定管理期間中の評価・モニタリングの確立、将来世代への継続性の担保(企画・開発・研究分野への投資、優秀な人材の確保)が必要と報告された。また外郭団体では、従来運営を担ってきた派遣職員の大幅な引き上げが行われる中で(大阪市では8割引き上げが明示されている)、プロパー職員に専門性が育っていないこと、また指定管理で外郭団体が敗れた場合、派遣職員の雇用が残りコストダウンできないため非公募になる問題が指摘された。一方、応募者側は、自治体及び外郭団体が独占してきた分野へ新規参入しても、施設経営能力・法的リテラシー能力が育っておらず、NPOが疲弊してしまうため、部分的業務委託から始めてノウハウを積み上げる等、トレーニングの問題が大きな課題であることが報告された。


 後半は、芦屋市での一部業務委託の実状、大阪市での指定管理者選定後の評価手法、ミュージアムでの専門的価値と市民のニーズ間での応答関係等の質疑応答が行われ、報告者からは「新たな公共」を担うNPO・市民団体等を含めた地域社会創造の必要性が指摘された。