第8回ライチョウ会議長野大会(2日目)

takibata2007-08-19

 ライチョウ会議の2日目。今日もたいへん勉強になった。座長が鈴木啓助先生、午前の第2部は、「高山に何が起きているのか」をテーマに、氷河期からの高山植生の変遷、南アルプスのシカ被害調査、日本アルプスニホンザルニホンジカの生態、高山昆虫の現状、高山環境と地球温暖化問題についての報告。午後は、中村浩志ライチョウ会議議長の基調講演、カナダのキャシー・マーチン先生の「北アメリカのライチョウ類の生態」の講演、そして最後にパネルディスカッション。
 中村先生の危機意識は強烈で、シカが南アルプスで7年前から亜高山帯に入り、ここ2〜3年で亜高山帯(のお花畑)は全て破壊されて、高山帯に進出。このまま2〜3年続くと、南アルプスは完全に破壊される。南アルプスは手遅れで、本当に(ライチョウを)守るなら、北アルプスだが、誰がどういう形で手をつけたらいいか、今、手をつけないと、次世代まで残せない、と訴えておられた。南アルプスが完全に手遅れになる、のタイミングについては、最初は10年、と言われていたと思うのだが、2度目のご発言では2〜3年と言われていたと思う。
 この2日間で随分いろんなことを学び、考えたが、書き出すと長くなるので、ここまでで。一つだけ、最後の方で、フロアから、「猟師が絶滅危惧職業になりつつある」という発言があった。そこに付け加えて、私としては、「公立博物館の危機」、その背景には、地方自治体の危機を考えてしまう。ライチョウについてもパイロットプランは検討され、これまでに飼育繁殖技術を蓄積してきた大町山岳博物館の存在がありながら、大町市の財政上の困難が大きなハードルになっている。
 環境庁に行動をとってもらいたいというのが、今日のパネルディスカッションと、フロアからの意見の着地点であったかと思う。