博物館法改正問題のその後

 昨日、花園大学で、全博協西日本部会が開催された。会場に着いて、初めて、文科省の栗原祐司さんの講演「新しい時代の博物館制度の在り方について」があることを知った。

 パワポの資料24枚分が配布され、メモも取っているが、結論部分だけ書くことにする。以下、栗原さんの配布資料と、私のメモから復元する。()内は推定・補足。

 「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」の中にWGを作って、検討を行っている。6月に報告書を出して、3つの残された課題がある。一つは、「学芸員の養成に関するWG」で(検討していて)、鷹野先生を座長に、青木先生にも加わっていただいている。3回、会議を開き、現在、ヒアリングの段階だ。年度末にWGの報告が出る予定だ。

 (あと2つは、)「博物館登録基準検討委員会」と「第三者機関在り方検討委員会」で(検討していて)、第三者機関の捉え方は、共通認識がない。日博協、全美、全科協、動水協、植物園協会、プラネタリウム協議会や、関係諸学会、団体などの連携が必ずしもとれていないが、博物館関係者がコンソーシアムとして専門家集団を作って、博物館関係者の総意のもとに、第三者機関を作っていってもらいたい(と、壮大な話だが)思っている。倫理規程の策定は、現在、日博協が行っている。

 法制化が全体にどうあるべきか、文科省としては、現場から、関係者団体に大いに議論していただきたい。中教審では、社会教育法、博物館法、図書館法、生涯学習振興法、4法一緒に検討していて、年度末には答申を出す予定。同時に、検討協力者会議からも、第二次報告を同じく年度末に出す予定で、法改正は、6月末の報告書である程度の在り方が出ているので、検討協力者会議の第二次報告のほうは、中・長期的なものになると思う。手続き的には、中教審パブコメを取るのではないかと思うが、本当に博物館にとってどのような制度がよいのか、議論、意見を盛り上げて、今のうちに出してもらいたい。

 年度末には方針が決まり、国会審議にかけるのが、早くて来年の2月の通常国会、ただし、通常国会は予算の審議があるので、博物館法は早くて4月か5月に審議にかけて、6月ごろ法成立になるのではないか。ただし、解散があると、博物館法は優先順位が高くないので、見送りということもありえる。仮に法改正があったとしても、すぐに施行ということはありえず、1年は移行期間がある。また学芸員資格の単位等は、政令・省令・告示等の事項になるので、順次定めることになる。3〜5年は、移行期間になり、すぐに変わるわけではない。

 栗原さんのお話はここまで。聞き間違いがあるかもしれないが、大筋はこんなところだったと思う。時間がなくなって、はしょられた最後のパワポ資料には、「法改正で対応するもの、法改正以外で対応するもの、引き続き検討を深めるものを整理(ただし、社会教育法、図書館法との整合性に配慮)」との記述がある。

 質疑応答の時間に、1人だけ、と言われたのを強引に、手を上げて質問した。「新しい時代の博物館制度の在り方について」(中間まとめ)に対するパブコメは、どの程度の数、どのような団体・個人から出され、どういう内容だったのか、おおまかな傾向を教えてほしい。また、パブコメで出された意見は、今後の法改正に、どのように生かされるのか、教えてほしい。これが私の質問。(本音は、パブコメに対してきちんと返事をしてほしい、なのだが、今日、こうした講演があるとは全くアナウンスされていなかったので、事前に、文科省のHPをチェックしていなかったのである。返事をいただいていない、と強く言えなかったのが残念)
 栗原さんのお答えは、以下の通り。

 パブコメは全部で99件あった。博物館の主体性を尊重してほしい、現場の意見を聞いてほしい、学芸員制度については分野別の制度を作ってほしいという(実際には)難しい提言などがあった。全体として、1/3は賛成、1/3は追加してほしいという意見、1/3は難しいかな、という意見だった。これらを受けて、6月の学芸員制度の在り方の報告書になった。

 後半は、軽くかわされた感じだが、とりあえず、事実確認にはなったと思う。もうおひとり、手を上げておられた方には申し訳なかったが。くどいようだが、パブコメには、私なりに随分時間をかけたので、容れられないなら容れられないで、きちんとその理由を説明していただきたいのである。まあ、99件分をいちいち相手にしてられないよ、かもしれないが。
 しかし、博物館利用者の立場に立った話が全く出て来ないのは、どうしたことだろうか。