塩の道を歩く(3)

takibata2007-10-26

 須沢臨海公園から、南へ舗装道を歩く。橋脚が並ぶのは、新幹線の橋脚になる予定だそうだ。もう一つ、印象深かったのは、姫川第七発電所。第七、というからには、一から六もあるのだろう。山の上から、3本の太い銀色の送水管(水圧鉄管というらしい)が降りてきている。高い所に掲げられた「東京電力」という大きな文字を、関西人としてはもの珍しく眺める。この姫川第七発電所は、東京電力グループの東京発電株式会社発電所だ。

 たぶんこの先で、今回のコースでは一番の難所だった岩木越えの山道に入ったのだと思うが記憶が定かではない。岩木越えで塩の道が山中に入って迂回するのは、昔、姫川が荒れて山麓まで洗っていたためらしい。雨のあとで道がぬかるんでいて、滑りやすい。坂はそれほど急ではない。ほどなく、また平坦な舗装道に下りてくる。

 山博友の会のみなさんの話題の中心は、畑の作物や、花の咲く木。大町周辺と糸魚川ではずいぶん違うらしい。キンモクセイは大町あたりでは、花がなかなか付かないとのこと。広々とした田んぼを眺めながら歩き、糸魚川バスの梶屋というバス停で、小休憩。1日6本しかないよ、とか俺んとこより多いよ、とか。

 さらに中谷内の集落まで歩く。糸魚川バスの終点なのだろう、糸魚川総合病院と行き先を書いた空バスが小さな駐車場に1台止まっている。民家の庭先にコルチカムがたくさん咲いている。小さな川の流れの中に、魚。中谷内、大谷内の集落には、牛つなぎ石。トタンをかぶせた大きな茅葺き民家もある。姫川の支流・虫川の流れが美しい。川の流れの中に背の低い潅木が立っている。上高地みたいだね、との声。本で読んだ梓川の話を思い出す。

 やがて、虫川の集落。相沢先生のお話とパンフによれば、現在は全戸移転して、時々集落の人が戻って畑作りをしているとのことで、実際にトラックをとめて、農作業をしているおじいさん、おばあさんの姿がある。「史跡虫川関所跡」の標が立ち、その先には、柿の木、そして青いトタン屋根が大きく崩れ落ちた民家。冬は雪が多いのだろう。“限界集落を超えてるよ”の声。この虫川の集落の川沿いで、お昼ご飯。そして橋の上で記念撮影をした。
 写真は、虫川の民家(2007年10月21日撮影)