「今、問われる 文化施設の使命とは」(2)

 まず、小林真理先生(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)の講演から。私なりに理解した概要のダイジェストを(制度の説明等は簡略化させていただく)。なお、正確な記録ではないので、文責は私にある。当日のメモに基づき、()は想像で補足した部分。

小林 指定管理者制度について話をしてほしいという依頼だったので、制度の確認と文化施設適用への問題を(お話したい)。私の研究の関心は、文化政策・法制度にあるが、研究の原点は、なぜ日本で芸術振興ができないのか、(行政は)お金をかけてきたが、(それが)本当の意味での芸術振興なのか(にある)。文化行政制度がどのように構築されてきたか【施設全般、法制度、行政組織、人材等】、フィールドワークとして、条例策定、計画策定に関わり、行政・作業の観察(をしてきた)。

 指定管理者制度を捉え返すことで、広義の文化施設をまとめて捉え返したい、文化の発達に関わる文化施設を捉え返したい。(従って)指定管理者制度文化施設に適用する際の問題点を明らかにする。外郭団体が自らをどのように改革できるか、民間はどのように参入可能か、新しい担い手としてのNPOがどう発展してきているか(を検討したい)。

 指定管理者制度がどういう制度なのか、行政の中でもちゃんと理解されていない(ため)、(本を)書き、発言もしてきた。今度は、指定管理者制度をどう評価していいか、何かを話すのは早いのではないか、私自身がどう捉えるべきか言えない、迷っている(ため、最近は、講演をお断りしてきた)。【以下、続く】

 小林先生の講演を聞いたのは、今回が初めて。9月の日本社会教育学会大会でも、小林先生のご報告枠があり、楽しみにしていたのだが、自分の自由研究発表で燃え尽きて、出席できなかったので、今回はその代わりに、の思いが強かった。
 小林先生はプレゼンが非常にお上手で、こういうふうに話を組み立てたらいいのかとか、感心して聞いていた。まず、ご自身の研究の関心、原点を語るというのは、分かり易いと思う。全体を通じて、自分の考え方とはどこが違うのかなと思って、お話を伺っていた。「広義の文化施設をまとめて」バーンと研究対象にされてしまうところが、大胆だと思う。「フィールドワークとして」のところは、同感。