「今、問われる 文化施設の使命とは」(6)

 小林真理先生のお話の続きを。

 指定管理者制度は、指定の期間が狭められていることが問題だ。指定管理者は、自治体(がこれまで提供してきた)公共サービスを代行するが、代行できるかは、自治体は不安に思っている。民間、NPO(の側も)やれるかどうか分からない。指定管理の期間は3年くらいのスパンになっているが、3年では何もできない。来年度からやれるかどうか分からない中で、次の計画はできない。公共サービスの在り方としては、(現在の指定の期間は)短い。長いスパンを考えられないか。
 自治体立の病院は、2006年12月までに、38件が指定管理に移行した。例えば、日赤などが指定管理者になっているが、人の命を預かるということで、期間も10〜30年に設定されている。
 指定管理の期間(をどう決めるかは)自由で、本気で地域の文化振興を考えたら、100年かかる。10〜30年くらいの指定期間でやってもいい。(しかし)そういう長いスパンでは、(文化施設は)捉えられていない。
 指定管理者制度の運用改善を図るために、総務省の外郭団体である「ふるさと財団」の「指定管理者制度研究会」(が立ち上げられている)。自治体の財政状況は悪く、500万円でもいいから安くしてくれるところに指定管理を出してしまう。もっともいいサービスではなく、とにかく安いところにやってもらう(傾向があり)、総務省もおかしいと思っている。指定管理者制度の趣旨をちゃんと理解して、ちゃんと運用していくようにという趣旨で、私(注:小林先生のこと)も、2期目の委員としてかかわっている。【以下、続く】

 小林先生のお話の中で「ふるさと財団」と聞いて、頭の中で??ランプが点滅した。今日、検索してみて、この財団の正式名称を見て、のけぞった。「財団法人地域総合整備財団」というのだ。地域総合整備事業債は、名前を変えて生き延びていたのか・・・
 しかも、この財団の役員はどーんと天下り。「ふるさと融資」と「PFI・PPPの推進」がトップページに並んでいる。財団のネーミング自体が、まるで、廃止された地域総合整備事業債に代わって、自治体が箱物整備をする資金を、融資するための組織のように読める。トップページを見て、思わず、融資の条件がPFI・PPPの導入かと早とちりしてしまった。とにかくびっくり。詳しく読んでみないと。融資はPFIと、どの程度セットで使われているのだろうか? 怖いのは、「地方公共団体は、ふるさと融資の原資を地方債で調達します。この地方債の利子の75%は地方交付税地方公共団体に対し補てんされます」とさらっと書かれているところ。
 ところで、稲葉馨さんは、つとに、指定管理者制度導入の背景にPFIがあることを指摘されてきたが、まさに、総務省の外郭団体が、PFI指定管理者制度をセットで語っている。小林先生が言及された研究会(の議事録)も、「PFI事業ガイド」ページの下位にぶら下がっている。