旭山動物園

takibata2007-11-28

 11月24日(土)、旭山動物園に行った。最初、東門から入る予定が、もう満車なのか、正門に回された。正門前も大変な車の列で渋滞。その横で下水道工事。お昼すぎだったが、人が多くて、皆口々に、動物じゃなくて、人を見に来たみたいだな・・・と(それでも年間では一番人の少ない時期らしい)。雪が積もって表面は凍っているので、歩くのに神経を使う。大町の皆さんは雪に慣れているので、普通の靴で苦もなく歩かれる。
 楽しみにしていた「ととりの村」は、この時期は閉鎖されているようだ。「ぺんぎん館」の行列に並ぶ。1時間とか聞いたが、実際には20分ほどで中に入れた。この時期、屋外の水洗トイレは凍結のため使えず、バイオトイレの前に寒さに震える長い列。人の量に、設備が追いついていない。正門前の下水道工事は、何らかの拡張作業だろうか。
 まあ、万事がこんな感じで、テレビや本で見た光景を、追体験しに行くという感じだが、想像していたより、園内も各施設も小さいと感じた。予想外だったのは、園全体が緩やかな斜面上にあること。雪のために通行可能な場所が狭まり、歩きづらい。
 フラッシュのために動物たちが白内障になったそうで、フラッシュ撮影は禁止されている。それでもすごい人で、人間でも人の多さで疲れてしまうから、毎日これにさらされている動物たちには、たいへんなストレスだろう。
  と、なんだかマイナス面ばかり書いてしまったが、動物園がやっていることは、真面目な印象を受けた。「あざらし館」の“もぐもぐタイム”を見ることができたが、飼育係の女性が話していることや、園内のアナウンスや掲示は、行き届いたものだ。要するに、人が多すぎることが問題で、訪れた誰もが、もっと空いた日にゆっくり自分のペースで見られたらいいのになあ・・・と思うだろう。今は、行列のできるラーメン屋状態だ。
 また、冬期の閉園時間は、午後3時半。日没が4時ごろだからだ。

 大阪に帰って来てから、改めて、プロジェクトXのビデオを学生たちと一緒に見た。なぜ、こんなに人が来るんだろう・・・プロジェクトXを見ていると、色々なことを学生たちも考える。エキノコックスで休園になったあと、市議会が1億円の改修費用を出すことを決めたのはなぜだろうとか、働くって大変なことだなあと思ったとか。当時の議会の議事録を読んでみたいね、と私。夕張と旭川の違いはどこにあったんだろう、と鋭い問いを発した学生もいた。旭山動物園の事例は、経営学部の先生も授業で取り上げたらしく、学生からその分析を教えてもらったこともある。
 今回のツアーでも感じたことだが、女満別空港―知床―網走―層雲峡―旭山動物園旭川空港、と、バラエティに富んだ知名度の高いコースを2泊3日で組め、行き帰り別の空港が利用できること、層雲峡温泉のような収容力を持つ宿泊地の存在など、好条件も重なっているのだろう。地元にもたらした経済効果は相当なものだろう。昼食を摂った店(ジンギスカン料理)もたいへんな賑わいで、観光バスが駐車場にずらりと並ぶ。園内のみやげ物店も、飛ぶように売れている。旭川空港の乗降客数の変化なども追ってみると面白いと思う。余力があればそんな研究もやってみたいが、経営学や観光学関係の方が、すでにされているだろうか。

 動物園の在り方という点では、また様々な議論があるのだろう。傷病鳥獣の保護や、在来家畜の飼育保存に世界の動物園の流れは移って来ているとも聞いている。比べ物にならないほど、面積的には広かったバーゼル動物園でゆったり過ごした楽しい半日を思い出しながら、例えば、入園者数の調整(予約制で人数を制限する)とか、あるいは敷地の拡大など、何らかの方法を考えてもいいのではないかと思う。たいへんな努力の末に再生した動物園が、気持ちよく訪れることのできる場所として、今後も発展していってほしいと思う。
 写真は、旭山動物園待ち行列(おらんうーたん館前、2007年11月24日撮影)。