網走刑務所の成人教育

takibata2007-11-27

 11月23日の昼食後には、皆でぶらぶらと、網走刑務所に向かった。正門の両サイドに小さな展示スペースがあった。それも物珍しく眺めたが、もっと、気になるものを見つけた。正門の反対側、道を挟んで「刑務所作業製品展示場」という建物があり、製品が販売されているのだが、その一角に、写真を展示しているコーナーがある。その写真に思わず見入ってしまったのだ。年代物の写真だが、その中に、「外来講師によるサークル活動」(タイトルはもう少し長かったかもしれない)という写真があり、和服姿の女性が、受刑者に三味線を教えている光景が写っていた。もう1枚は、「釈放前に行われる外来講師による出所時教育」という写真。ああ、日本でもやっているんだ、と。
 随分昔、スウェーデンの成人教育を調べていた頃、スウェーデン政府が発行しているFact Sheet というシリーズ(日本語版)があり、成人教育のシートの末尾に、刑務所での成人教育という項目があった。その話を、当時の指導教官に話したら、「英国でも受刑者の教育は、成人教育の大事な一部だよ」といったお返事だった。その時は、スウェーデンや英国は進んでいるなあ、と単純に感心していたが、よく考えると、日本だって、刑務所で教育活動をやっていない方が不自然だろう。で、網走で、こういう写真を見て、しみじみと感じ入ってしまった。
 私の知る範囲では、刑務所での成人教育というテーマで書かれた日本語文献や、研究発表などを見聞きした覚えがない。少なくとも、社会教育の分野では、日本では、誰も研究していないのではないだろうか? でも、実践では随分蓄積がありそうだ。しかし、サークル活動があるとは・・・。成人教育の分野としては、当事者にとっても、社会にとっても、非常に重要な分野だと思う。またしても、気になることが一つ増えてしまった。
 写真は、「釈放前に行われる外来講師による出所時教育」の写真展示(2007年11月23日撮影)。