斜里町立知床博物館

takibata2007-11-26

 11月22日、斜里町立知床博物館に行った。小1時間ほど、館内と屋外の飼育施設を自由見学したあと、皆で、中川元館長のお話を伺った。知る人ぞ知る、の博物館なのだろう。私は、恥ずかしながら、全く知らなかった。今回の旅行で最大の収穫。
 北海道文化資源データ・ベースによると、1965年頃から資料収集が始まり、1970年に町立知床資料館としてオープン、さらに1978年に博物館としてオープンしたらしい。中川先生のお話では、展示は、1978年のオープン当時のままで、更新できないため、手作りの展示で補っているとのこと。
展示内容は、剥製標本、骨格標本を中心に、歴史・民俗系の資料も充実していた。館内のあちこちにiMacが置かれていて、その一つ、開拓時代の三井農場の白黒映像が興味深かった。収蔵展示という、収蔵庫をガラス窓越しに見せる展示手法も面白く、私は初めて見たが、大町のM先生のお話では、かつて流行した展示手法とのこと。展示の古さは否めないが、それをさまざまな手作り展示で補っているところが魅力だ。(それに私は、博物館の博物館といえる古い展示が大好きなのだ。江ノ島水族館の昔の、上から覗き込む水槽なども大好きだった。)骨格標本は、かなりお好きな方がおられるのだろう。
野外飼育施設には、野生復帰できない理由のあるオジロワシオオワシが飼育されていた。併設の交流記念館では、特別展「知床のシダ」が開催されていて、これも驚きの展示。どこにでもある衝立に、白いダンボール紙を台紙にして、テグスとピンでシダ標本を留めたシンプルなもの。ダンボールでなく、ただの白い紙の部分もあり、ダンボール自体も継ぎ接ぎなのだが、仕上がりは美しく、貼り付けられたシダも、まだ緑色が美しく残ったもので、裏面にびっしりと胞子が張り付いたものが見える。大変、魅力的な展示だ。これを見ると、“お金がない”は言い訳にならないと思った。
横の事務室風の窓口では、様々な書籍類が販売されていて、これも力作揃い。郷土学習シリーズが1冊300円で、特別展図録が1冊500円。その他、館の編集で、本格的な”知床ライブラリー”シリーズも北海道新聞社から刊行されている。こんな北国の小さな博物館で大変な努力と、驚くばかりだった。
中川先生がレクチャーしてくださった2階の小部屋の壁には、OMC(Operational Navigation Chart)という100万分の1地図、それもオホーツク海をぐるっと取り巻き北海道が南の端にある地図が大きく貼り出されている。お話は主に、流氷によって海と陸の生き物がいかに育まれているかについて。もっともっと時間があればと思った。
この博物館のパワーが不思議で、家に帰ってから、HPを探してみた。数々の出版物は、知床博物館協力会が発行したり販売したりしているようだ。年会費1口2,000円で、最新の特別展の図録が貰えるとのこと。ニュースレターも郵送してくれるそうだが、2,000円では協力会が赤字になってしまうのでは、とかつい心配してしまう。詳しい経緯は不明だが、がぜん興味を持った。しかし、そんなにあちこちに興味を持っては、ますます私の調査は散漫になってしまうので、お預け・・・。
写真は、斜里町立知床博物館の特別展「知床のシダ」展示(2007年11月22日撮影)