「今、問われる 文化施設の使命とは」(8)

 だいぶ日が空いてしまったが、上記研究会の第二部の内容を。私が当日メモしたノートと記憶を元に復元を試みたものなので、書き逃している部分や間違いもあると思うが、お許しいただきたい。
 第二部の司会は引き続き、原久子さん(アートプロデューサー・大阪電気通信大学)。パネリストは加藤瑞穂さん(芦屋市立美術博物館)、木ノ下智恵子さん大阪大学コミュニケーション・デザインセンター)、小林真理さん(東京大学)、川端嘉人さん(有限会社クリーン・ブラザーズ)。
 以下、()内は、私が想像で補った部分。木ノ下さんのお話は、私に予備知識がまるでなかったために、不明な点が続出している。ごめんなさい。

原 それぞれがいろんな形で美術館やアートセンターに関わって来た現場の人だ。指定管理者制度に関して、いろんな形で関わ(っておられる)。それぞれの立場(で語っていただくことで)、今の施設の現状を知ってもら(えると思う)。

加藤 1993年に、芦屋市立美術博物館の学芸員になった。2006年3月までは、芦屋市文化振興財団の職員だった。(現在は)NPO法人芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)に雇用されている職員だ。1年契約で、2006年4月から(雇用されている)。2006年3月に財団が解体されて解雇され、NPOに再雇用された。
 芦屋市立美術博物館は、2006年3月まで、財団運営だった【財団に運営が委託されていた】が、4月に市の直営に戻され、AMMに業務委託された。今は、その2年目。一番の問題は、来年は(どうなるか分からないという)1年契約の更新であること。(このまま)市の直営で行くのだろうか? 指定管理者制度(の導入を)念頭に、市は動いているのが現状だ。

木ノ下 今日の主題は、神戸アートビレッジセンターの画像を見ながら(・・・このあとメモ不明)。今は非常勤の個人契約(で、・・・)1年契約を10年間続けてきた。神戸アートビレッジセンターは、震災のときに立ち上がった。施設は複合施設で、区民センターのような(場所だ)。自主事業と貸館事業(をしている)。神戸市の施設(で)、大阪ガスグループのプラネットワークが(・・・)ほぼ実質的には活動している。
 新開地の歴史を踏まえながら、再復興(を図り)、若手芸術家を育成する。(神戸アートビレッジセンターに)10年間いて、2005年から指定管理者になった(が)、実質的には(それ以前から)指定管理者(同様の仕事をしてきた)。
 (神戸市民)文化振興財団(への委託)から大阪ガスビジネスクリエイトが(指定管理者に指定されたが)、96年の開館当初から似たような状況だった。状況は変わっていない。(以前は)館長と総務が役所から来ていた。(実際の事業は)管理業者がやっている。
 (指定管理者になってからのほうが)個人的にはラクになった。役所(は)、リスクマネジメントが課題で、釘一本打つのも厳しい。現在は運用レベルで展開でき、釘も打てる。運営のラクさ。
 沖縄県立(博物館・)美術館のオープニングに行ったが、学芸員は市の【県の?】教育委員会に所属し、管理(には)指定管理者が入っているが、(学芸員だけより)業者が入ってきたほうがやりやすくなった(という声も聞いた)。
指定管理者制度の導入を)チャンスと捉えるか。声を大にできる、さまざまな事業を10年間やってきた。3つの事業を15名のスタッフが全て担う。予算的には、館長と総務部門の人件費が削られた。(指定管理者制度は)何にとっての削減だったのか? ゼロから企業がやるのは、難しい。新しい文化事業の展開、神戸全域をテーマにした、町並みを舞台にしたワークショップを(やってきた)。
【以下、続く】

 分からないことだらけだったので、検索してみると、「神戸アートビレッジセンターの指定管理者候補の選定について」というページを見つけた。

 また平成17 年度神戸アートビレッジセンターの管理運営に対する評価表というのも、見つけた。これによると、指定管理者は、「平成17 年4 月1 日〜平成18 年3 月31 日が株式会社プラネットワーク、平成18 年4 月1 日〜平成21 年3 月31 日は会社分割の後継会社である大阪ガスビジネスクリエイト株式会社」となっている。

 さらにこんなサイトまで見つけてしまった。→「神戸アートビレッジセンター1階利活用提案コンペ・当選(神戸市/プラネットワーク)H16」「神戸アートビレッジセンター指定管理者提案コンペ・当選 (神戸市/プラネットワーク)H16」・・・つまり、指定管理者に応募するための提案を書くコンサルさん?のZen Create.

 次に検索で出てきたのは、「市民社会フォーラム第30回例会」の報告神戸アートビレッジセンターKAVC)の指定管理者に応募しようとしたが・・・という内容。以下、若干引用。予算のこと等、この記事の内容が正確かどうかは不明。また、木ノ下さんのお話では、総務も役所からということだったが。

KAVCは、同じ神戸市民文化振興財団が運営・管理していたが、実態としては館長だけが振興財団の職員で、あとは大阪ガスの下請け会社のプラネットホームという会社に全部委ねていた。そこが指定管理者として入札した。今までやっているところがやることになった。予算は3〜4割減らされている。5年先はどうなるか心配だ。
http://homepage3.nifty.com/civilsocietyforum/0507bunka.doc

そして、こんな記事も発見。(Fringe)

神戸市生活文化観光局生活文化部文化交流課が2004年11月に公募した神戸アートビレッジセンターKAVC)の指定管理者は、3団体が応募し、株式会社プラネットワークが12月24日に候補者に選定された。同社は大阪ガスグループとして閉館した扇町ミュージアムスクエア(OMS)の運営を手掛け、KAVCもオープン時から運営受託していた。現在もOMS戯曲賞事務局を務める。同時に公募した神戸文化ホールは、5団体から財団法人神戸市民文化振興財団が選定された。
(2005年2月14日)http://fringe.jp/topics/0502.html

 ところで、木ノ下さんのお話の中で、沖縄県立博物館・美術館の話が出てきて、びっくりした。突っ込みたかったが・・・。
 沖縄の県立の美術館については、こちらをご覧いただきたい。「美術館問題について大いに語る会」 (安座間代表の苦悩、沖縄の皆さんのその後の変化など、大阪にいる身としては、今は軽々しくコメントできないと、私は感じている)
 木ノ下さんの発言は、沖縄の美術館問題の歴史的な経緯をぶっとばした発言で、こんな感じでちらっとだけ言及するのは、ちょっと待ってよと思った。