「大阪の文化の未来を考えるシンポジウム」(1)

 日中は見学実習の下見と打ち合わせで兵庫県立考古博物館にお邪魔した。それはそれで大変面白かったのだが、夕方から天満橋へ出て、上記シンポジウムに参加した。緊急性から「大阪の文化の未来を考えるシンポジウム」http://www.wing-f.co.jp/osaka-bunka.htm速報を先に連載したい。
 このシンポジウムの主催者(呼びかけ人)は、小堀純さん(編集者)、福本年雄さん(ウイングフィールド代表)、岩崎正裕さん(劇作家・演出家、劇団太陽族代表)、深津篤史さん(劇作家・演出家、桃園会代表、NPO法人 大阪現代舞台芸術協会理事長)、大谷燠さん(NPO法人 DANCE BOX 代表理事)。以上は、ウイングフィールド公式サイトから貼り付けさせていただいた。http://www.wing-f.co.jp/
 会場は満席で、折りたたみ椅子なども横、後ろに用意されていた。マスコミの取材もあって、関テレやMBS日経新聞などが来られていたようだ。
 ドーンセンターに初めて行った。外観は豪華だったが、中は、特に驚くほどのものではなかった。少し早めに着いたので、館内を少しだけ探検した。午後6時ごろ。地下に印刷室があるようなので、階段で降りてみた。印刷機コピー機がある作業スペースと大型ロッカーがあった。1階に戻って、各階を探検しようと思ったのだが、エレベーターが来て、反射的に乗ってしまい、会場のある5階へ。ちょうど、テレビ局のスタッフと一緒になったので、興味津々で付いて行ってしまった。あとは、どんな人が来るのかな〜と、キョロキョロしていた。知り合いは皆無で、いかに自分が“大阪の文化にうといか”をここでも実感した。
 予定の6:30を5分ほどまわって、シンポジウムが始まった。最初に呼びかけ人の福本さんから、写真と録音は(マスコミ以外は)不許可というアナウンスがあった。ちょっと不思議な気もしたが、悪用されることを危惧してのアナウンスだったのかもしれない。
 ということで、以下は私のメモの復元である。主催者に許可は取っていない。共感できる発言が多々あり、多くの人に知って貰うことが大事だと思うので、独断でメモを掲載させていただく。当然、録音はしていないし、色々と疎いことが多いので、聞き間違い、聞き漏らし、誤記等があると思う。このメモの文責は、私(瀧端)にある。【関係者の方で、間違いに気づいた方は、ご一報下さい。訂正させていただきます。】以下、敬称略。( )内はメモが追いつかず、想像で後から補った部分。太字は、私が強調したいと思った部分。

小堀(司会) フリーランスの編集者で、小劇場演劇、コンテンポラリーダンス(に関わってきた)。(最初に呼びかけ人を紹介させていただきたい。)福本さんはウイングフィールド【この部分早口で書き取れず】大阪市最初の小劇場、http://www.seikatheatre.net/concept.html精華小劇場の売却が検討されている。(これは大阪市だが、)橋下府政は拠点施設である文化施設の公共性・歴史性や意味、未来への可能性をないがしろにしているのではないか。府の文化政策に対する根本的な問い直し(が必要だということで)、広く呼びかけ、シンポジウム、ミーティング(を開こうという話になった)。
 大谷さんは、フェスティバルゲートのDANCE BOX(のプロデューサーで)、狭い場所で、肉声が通る距離、顔が見える場所で、一つのきっかけになればと企画した。
 新聞社の文化担当の記者さんに声を掛けた。記事になっていくことを期待(している)。発言者に話していただいたあと、休憩を挟んで、フロアからの発言をいただきたい。


向川(大阪府立国際児童文学館館長)
 知事の視察は10分程度で、知事は、大変いい施設だ、大変いいところだ(と言われ)、ディスカッションの中では、評価していただいたと思った。ところがマスコミでは、知事との対面の中で、図書館と変わらない、児童文学館=図書館と思われた(ようだ)。
 (私たちは)本は集めているが、通常の本の集め方、扱い方と違う。日本で出版されている子どもの本(を集めている)。日本の子どもの本の出発点は、『黄金丸』で、子どもの本の夜明けだ。少年ジャンプや、マガジンなども(創刊号から)全てある。全て持っているのはここだけで、子どもの本を単なる図書ではなく、文化財として扱いたい(というのが、うちのコンセプトだ)。子どもがどのような本に囲まれて現在に至るのか、本の扱い方、納め方(は、一般の図書館とは異なる)。(例えばここに、宮沢賢治の復刻版があるが)、この本には、函がついていて、本体とカバーが違う。一般の図書館では、函は捨てる。図書館ではカバーもほとんど捨てる。(我々の館では)装丁も子どもの本の文化財として(保存している)。
 文学館のバーコードは、ビニールのカバーの上についているから、カバーを取ると、元の形に戻る。(図書館のような)蔵書印も押さない。美術品だから、ハンを押さない。子どもの本を文化財として守っていきたいが、知事に理解されていない。
 文学館の蔵書は70万点を超える。国立子ども図書館を超える点数で、誇るべき子どもの文化財を持っている。大阪府民の財産だ。
 国際児童文学館(と謳っているので)、諸外国からもお客さんが来る。大阪ってすごいな(と言われる)。アジアの諸国に向け発信している。アジア(のお客さんからは)、随分参考になる、と言われる。大阪が子どもの文化財をどれだけ大事にしているか(の)姿勢を見せている。
 府立中央図書館に統合と言われているが、吸収ではないか。図書館に入ってしまうと、重複している本は、どちらかを捨てるのではないか。図書館の本と、児童文学館の本とは違う。想いを次の世代に伝えたい。
 これらの本は、ほとんどが寄贈で、年間60%は出版社から寄贈を受けている。知事には、大阪府が買ったものというアタマがあるが、(児童文学館は)出発点が寄贈(から始まっている)。個人からの寄贈も毎年ある。大阪府だからこそ、大事に保存してくれる、という寄贈者の気持ち、願いを踏みにじるものだ。 児童文学館は、所蔵だけでなく、読書活動支援をしている。レファレンスに対応している。悲しい本、怖い本を(読みたい)とか、自分と同じ名前の主人公が出てくる本を読みたいとか、リクエストに応えるようにしている。子どもたちに、本を手に取ってもらうきっかけを作りたい。研究者、教育現場からのリクエストにも応えたい。例えば、昨年一年でどんな本が出たのか、専門員が読んで、単に集めるだけでなく、(子どもたちに)還元したい。
 財団法人だから出来る、子どものための文化施設を作りたい、(という想いを、当時の)知事や教育長が、ぜひとも大阪でやりたい、府側の方から、やりたいと言われた。(だから)絶対に大阪に作りたいと思った。子どもの本、文化を未来につなぐために働いている。


小堀 付録まで集めているのは文学館だけですね。
       (以下、続く)

まずは、向川館長のご発言のメモをアップする。このあと、ワッハ上方の伊東館長のお話へと続く。