ラウンドテーブル学会通信用原稿

 6月8日に、日本社会教育学会六月集会で企画したラウンドテーブル「博物館のアウトプットと予算査定」のダイジェストを、学会通信用に作成した。明日が提出締め切りで、今日、事務局あて送った。学会HPはなかなか更新されないので、先に自分のブログにアップすることにした。学会も、もう少し時代の変化に合わせていただきたいものだ。字数制限が26字×26行なので、内容は大変圧縮されている。ライブで聴いてなんぼ!

博物館のアウトプットと予算査定


まず、地方交付税制度の第一人者である岡本全勝氏(内閣府)に、財政と行政管理の視点から報告をいただいた。予算査定の現場では、文化予算は必要性が他分野と比較不能で一律カットを受けやすいこと、地方公共団体算額推移表をもとに、90年代の社会教育費の激増とその理由を説明いただいた。小泉改革以降、交付税による支援が削減されて建設費が止まり、運営費は一律カットを繰り返し10年間で約6割減になっていること、またNPMの立場から、民へ出す「効率」化と、事業の必要性自体を問う費用対「効果」の考え方の違いを説明いただき、博物館(特に美術館)のアウトプットの分かりづらさに対して疑問が出された。


大嶋貴明会員(宮城県美術館)からは、一人ではやれないことで市場的にやれないものをやるのが税金の使い途で、共同体として持たないと持てないものが美術館だとの説明がなされた。美術館で絵を展示することは、後世に残すに価する選別をすることで、それを責任持ってやれる専門性を持つ学芸員、多数決原理だけでない代理者責任を持つ学芸員を雇用する必要が述べられた。


佐久間大輔氏(大阪市立自然史博物館)からは、指定管理者になり施策・予算への現場関与が難しい中、自立的に活動するために外部連携・市民連携が重要との指摘がなされ、国と地方は生物・文化多様性情報を維持する役割分担を持つため広域利益の費用分担が必要であり、魅力ある博物館の実現には現状機能の見直しという後向き査定ではなく、競争的資金を査定して事業構造の転換を促進する方が建設的だと提案された。コーディネーターは瀧端、後半も活発な議論が行われた。 瀧端真理子(追手門学院大学


 博物館のみならず、大学も、明るい話題には恵まれない今日この頃。個人の生き方も、佐久間さんのお言葉を借りるならば、「事業構造の転換を促進する方が建設的だ」としみじみ思う。家に戻れば、自称ポジティブシンキングの次女に勇気づけられることが多い。
 職場の皆さんに勧められて、夕方、眼科に行った。視力・眼底とも異常なし。どす黒くなった目の周りは、1〜2週間で治ると言われた。ワンコは相変わらず、病院通いが続いている。“同じ病院にまとめたら”とは、誰かさんの言。