椎葉神楽(日本民家集落博物館)

 26日午後、日本民家集落博物館に、椎葉神楽の公演を見に行った。四国から急いで帰ったのは、この予定があったため。日本民家集落博物館は、現在、(財)大阪府文化財センターが運営しており、府立4館の話題が大きく取り上げられる陰で、ひっそりと予算を大幅に削減されている。今回の椎葉神楽の公演は、阪神淡路大震災の折に被害を受けた「旧椎葉家住宅」(重文)の保存修理工事竣工を記念して企画されたもの。ただし、府からの運営補助金の大幅削減のため、公演費用を賄うのが難しくなり、館にゆかりの団体・企業・個人が協賛金を寄せ、昨日と今日の計4回の公演に漕ぎ着けた。
 井藤館長からのご挨拶のあとは、椎葉村教育長の甲斐眞后さんが、司会兼解説をして下さった。椎葉村の産業は、林業、畜産、干ししいたけが主だが、ほとんど公共事業で生計を立てています、と潔く語られたのが、胸に沁みた。畜産は和牛の繁殖で、子牛を三重、神戸、佐賀等へ、出荷しているとのこと。村は山林が97%、耕作地がほとんどないので、江戸時代にも、年貢が取れないので支配しても意味がないということで、(どこにも属していなかったが)、村人があまりに勝手なことをするというので、天領になったとのこと。この面白い歴史の部分は、ちょっとぼんやりしていて、最初を聞き逃してしまった。
 神楽を舞って下さったのは、椎葉村の「十根川神楽保存会」のみなさん。ほとんどが那須姓の方だった。また、合間に、民謡名人の黒木忠さんが、稗つき節、駄賃づけ、奥山節、木おどし節などを歌って下さった。木おどし節は、焼畑の際に唄う歌とのこと。
 神楽の演目は、森「矢の手」、森「弓の手」、火の神、の3つ。初めて見る椎葉神楽は、おごそかでもあり、楽しくもあり、特に最後の「火の神」は、ユーモラスなお面をかぶり、舞い踊ったあと、台所の釜場に向かい、お釜さまとの宴を行い、その後、私たち観客にも、お神酒が振舞われた。そういえば、森「弓の手」のあとにも、舞に使われた紅白のお餅が、振舞われた。柔らかいから、そのまま食べてもいいよ、とのことで、おいしくいただいた。
 では、以下、写真集を。


 この方は、79歳になられるとのこと。凛としておられた。
 弓・矢を用いた神楽は、狩猟と係わりが深いと考えられるとのこと。

 矢2本をクロスさせて、弓矢を射るポーズ。

民謡名人の黒木忠さん↓

 猿や、犬のお面がユーモラス。





 猿の舞い手さんは、お酒のあと、お面を天地逆にかぶるなど、サービス精神旺盛。

 最後に、神様をお送りして、ご挨拶があった。

「十根川神楽保存会」は2地区、16戸20名で担われ、後継者には恵まれているという。こうして呼んでいただけると励みになる、と保存会の会長さんがご挨拶された。