「新公益法人制度への移行1年目−社団・財団法人の見直し」

 『地方財務』2009年1月号に、上記の記事が載っているのに気づいた。著者は、監査法人トーマツの寺川徹也さん。前半は、新しい制度の内容をコンパクトかつ平易に説明されていて、こういうふうに書けばいいのか、と参考になった。授業のネタ本としても使えそう。後半は、ちょっと不満。

 公益法人制度改革によって、公益か否かの検討は、団体そのものではなく、まず事業単位でなされること、制度改革にあたってはすべての関係者が当事者意識を持つ必要があることは、これまでに述べたとおりである。

 ここは、まあ、その通りだろう。その次が、何かひっかかるものがある。

 また、特例民法法人に業務委託している自治体においては、業務委託を継続するためには、委託先は公益社団法人・財団法人に移行しなければならないと誤解している職員がいないかを確認して欲しい。公益法人に業務を委託することが大事なのではなく、当該業務をもっとも適切に実施できる法人に委託することこそが大事なのではなかろうか。

 従来の、自治体と、自治出資法人の関係を考えるなら、なんだか、無責任な話だよなあ、と思ってしまう。自治体職員の天下り先・余剰人員の受け皿に使われなどしてきた経緯を考えるなら、ここで知らん振り、というのは冷たい仕打ちではないだろうか。
 先の博物館大会の折、アフター5で、「本庁は知らん振りでしょ、財団の問題だから自分たちでやりなさい、ですよ」と館長クラスの先生方は言われていたが、寺川さんのを読むと、本当にそうなのかも・・・と思う。
 ちなみに、本文より、寺川さんのプロフィール欄が興味深い。「公益法人の統合に関するアドバイス業務、公益法人の新制度における合併に関するアドバイス業務」云々と書かれている。統合・合併を考える(迫られる?)法人が結構あるということか。
 「ぎょうせい」さんへ。公益法人制度改革への、もう少し突っ込んだ記事を期待しています! 一読者より。