全体実習(元興寺実習2日目)

 今日は、全体実習の2日目。朝、7時に家を出る。近鉄京都駅の改札を通ってから、あれ?おかしいな、と気づく。長谷寺へ行くあさってと、時間を間違えて家を出たらしい。早すぎる。もう一度、改札を通って、POTAL CAFEで試験の採点を約1時間。今日はDVDを見ることもなく、非常にはかどった。近鉄の中でも採点。
 9時半過ぎには、実習生も全員揃ったので、早々と実習を開始する。世界遺産でもあり、国宝でもある元興寺の禅室の戸を開け放っての実習。今日はお天気がよい割に涼しく、禅室の中を吹き抜ける風が気持ちいい。

 午前中は座学で、S先生による「「古文書」の保存管理、調査、展示」の講義。たいへん気合の入ったレジュメを作って下さっていて、これまでに聞いた文書の話では、一番包括的なお話を伺うことができた。特に嬉しかったのは、文書調査の手順の中で、これから実習生が行う作業の位置づけが明確に示されていた点である。何のためにある意味単調な作業をするのか、大きな流れの中での意義、どこの部分を担当しているのかを説明することはとても大切だと思う。
 また、近年、主として近畿圏の博物館や文書館で開催された、古文書を中心とした展覧会がリストアップされていて、何を重視した/何に注目した展示かのコメントがつけられていて、図録を使いながら説明していただいた。
 個人的には、評価選別論が一番聞きたかったのだが、そこはさらっと進まれた。でも非常に満足度の高い講義で、翻って、ああ、自分の授業も何とかしないとなあ、と思うのだった。
 講義のあとで、本堂をご案内いただき、正面の柱に刻まれた寄進状を説明していただいた。平安、鎌倉期に刻まれた、田地の寄進状がいまだに柱に残っているのである。普段はアクリル板で覆われているが、たまたま撮影のためにアクリル板が外されていることのこと。S先生は、これも古文書の一種です、と説明して下さった。


 午後からは、お庭に出て、恒例の拓本。ちゃんと何が書かれているかよく観察するように、との、もう一人のS先生のご指導であった。拓本を採ることだけに熱中してはいけないのである。