[博物館]国立歴史博物館(台北・2009年10月31日)

 南海学園の中には、国立歴史博物館がある。


この時は改装工事中で、展示は一部しか観覧できなかった。記憶がかなりあいまいになってしまったが、2階か3階が考古学中心の展示。甲骨文字が書かれた「甲骨」が展示されていたのをしげしげと眺めた他は、強く印象に残るものはなかった。館内は撮影禁止。窓際に、例の(枯れた)蓮池を見下ろすおしゃれな中国風インテリアの休憩コーナーがあり、若い人たちがPCを開いたりしている。記憶に間違いがなければ、4階は特別展会場で、この時は、下の写真の垂れ幕にあるように、曹志漪という作家の作品展をやっていた。どうということのない、きれいに上手に描けました、という絵(ごめん)。

 この4階の窓際は、喫茶(たぶん中国茶)コーナーになっていて、素敵だ。蓮の花の季節だったら、さぞかし素晴らしい空間になるだろう。
 一番インパクトがあったのは、1階エントランス脇のミュージアムショップで、ガラス張りの明るい照明、「博物館商店」という看板にも度肝を抜かれたが、「ショップ」を翻訳するとそうなるのだろう・・・。白人のお客さんが多く、さまざまなレプリカの他に、棚一面に専門書も並んでいる。店員さんは、ホテルマンのような出立ちで、きびきびしている。で、棚を眺めていると、博物館学系の本も並んでいた。

 呉國淳『理解与詮釈観衆与博物館学習研究』(2005、国立歴史博物館)という本の参考文献リストを眺めると、ブルデューグリーンヒル等の欧文文献がずらりと並ぶ。日本語文献はゼロ。もう1冊、黄永川ほか『博物館営運的新思惟』(2005、国立歴史博物館)をめくっても、掲載されている写真から、モデルがダイレクトに欧米の博物館になっていることが見てとれる(と書いてから、今、本をめくっていたら、外国の最近の成功事例として、「呉市海事歴史科学館」が取り上げられていた)。
 台湾の博物館人、がんばって勉強してるなあ〜と感心して頁をくっているうちに遭遇したのが、リボンつきインナーの写真。↓ 「倫敦泰得現代美術館」とある。泰得・・・って、ああ、テートモダンか、と気づくまでにワンクッションあって、それからクスクス笑ってしまった。この章(「博物館商店効能之再検討」)の著者(経理担当の周進智さん)は、どんな顔をしてこの写真を撮ったのだろうか・・・
 ちなみにその下に写っているのは、スキポール空港内アムステルダム国立博物館のショップ。でもって、国立歴史博物館は、台湾桃園国際空港の中にも、しっかり「博物館商店」を開店している(後述)。

  ともかくも、記念にこの2冊を買って帰ることにした。レジではクレジットカードも使えた。我が身を省みて、これらの本の著者たちよりも不勉強なのは明らかである。