寄生虫(?)駆除2回目と、恐怖の発見(寄生虫?の写真あり)

2010年2月4日追記:本記事をご覧の方は、併せて2010年2月4日の記事をご覧下さい。赤い虫についての専門家の意見を掲載しています

 今日は、グッピー水槽寄生虫駆除の2回目。旧60cm水槽の近況はというと、1月29〜30日にかけて、また初代メスが出産。はちきれそうな大きなお腹だった割に、稚魚は10匹強くらいか(残りのふくらみは寄生虫だったのでは)。
昨日、底床から赤い寄生虫を2匹採取。プラカップの中で実験用に生かしておいた。


 今朝、9時半に投薬開始(セラ・メド・プロフェッショナル・ネマトールを1.2ml投入。前回より水位が高いので、0.1ml増やしてみた)。CO2は止めて、エアレーションは最大に(水心の60〜120cm用を使っている、+エーハイム2213の排水パイプを水面より上に)。
現在のところ、グッピーはみな元気。1回目の投薬時のように、明らかに寄生虫と疑われる長々とした糞をする魚はいないが、怪しい糞をする魚も少々。
 一番怪しいのは、赤い糞。実は1週間ほど前から、さかんに赤い糞が落ちていた。

 
 しばらくするとスネールがたくさん、上の方に上がって来た。水面より上に出てきた貝も。
昨日吸い出した寄生虫は、1匹はそのままにし、もう1匹は薬を入れた水槽水を汲んで、その中に入れてみた。↓薬液の中の寄生虫。びくともしない。半日経過しても死なない!

 さて、ここまでは良かったのだが、30cmの「金魚のお部屋S」(もちろん中身はグッピー水草だけ)の濾過ボーイのフィルターを交換するために、濾過ボーイを引き上げ、ふと、また砂を新60cm水槽に入れてみようと思い立った。昨日は、砂を軽くカルキ抜きした水で洗って入れたのだが、それではあまり効果がないかと、大胆にコップで掬って、そのまま新水槽に入れたのだった。・・・・すると、驚愕の寄生虫が!しかもデカイ。
 この寄生虫、伸縮自在で、丸まったり、びよ〜んと伸びたり。3重折くらいになることもある。(この水槽の底床は、結構まめに掃除していて、寄生虫は一度も出てこなかったのだが、濾過ボーイの下の底床に隠れていたのだ。



 後悔しても後の祭り。とりあえず、30cm水槽の治療だ。濾過ボーイの交換フィルターは活性炭が入っていて使えないので、エーハイムの細目フィルターパッドを丸めて入れておいた。セラ・メド・プロフェッショナル・ネマトールを0.3ml投入(水槽水は12ℓと見当をつけた)。グッピーはみな異常なし。特に変な糞もしない。
 そして、新水槽のセットを全部分解して、重い水槽を風呂場へ。どの程度面倒かというと、犬を洗うのと同じくらい。要は、決心するまでが億劫。でも、今日締切の原稿を書く方が億劫なのは言うまでもない。
 シポラックは煮沸し直し、外部フィルターの部品は洗って熱めのお湯につけておいた。晴れたら天日干しだ。

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 ところで、JSTに依頼していた文献も届いている。
 荒木潤・町田昌昭(目黒寄生虫博物館)「グッピーから得られたCamallanidae科線虫について」(日本寄生虫学会大会プログラム・抄録集77th)
 ごく短いもので、全文紹介すると著作権上問題があると思われるので、以下、概要のみ。

 2000年2月に兵庫県で、2007年9月に東京で、グッピーから排泄された線虫が鑑定のため持ち込まれた。生きている虫体は赤く、・・・(中略)・・・子宮には幼虫が充満しており、・・・以上の形態から、Camallanus cotti Fujita,1927 と考えられた。本虫はR.C.Menezes et al.,2006がブラジルの観賞用のグッピーとベタから報告しており、・・・今後検討の必要がある。また、本虫は宿主にダメージを与えることが考えられ、注意が必要と思われる。

(この文献はJSTから、どなたでも取り寄せることができます。)
 
 また、寄生虫関係の本も3冊買った。まだパラパラとしか見ていないが、Camallanus cottiは、以下の本に出ていた。

例えば、線虫類の2種、ラフィダスカリス(Raphidascaris gigi)とカマラヌス(Camallanus cotti)は多くの魚種に寄生する種(図3)で、両者とも琵琶湖の全域と西岸に注ぐ短い河川には見られた。しかし、東岸に流れ込む比較的長い河川にはほとんど分布していなかった。
 (マーク・J・グライガー「琵琶湖の寄生虫相を明らかにする」長澤和也編著『フィールドの寄生虫学 水族寄生虫学の最前線』東海大学出版会、2004年、273−284頁。)

 この本に掲載されているCamallanus cottiの写真は、形態は我が家の寄生虫にとてもよく似ている。ただ大きさが本では、3.5〜4mm程度に写っている。

 長澤さんの単著『魚介類に寄生する生物』(成山堂書店、2008年)では、「熱帯魚の寄生生物」という項目がある(116−117頁)。

実は、わが国で飼育されている熱帯魚の寄生生物は、ほとんど調べられていない。これは、水族の寄生生物を調べる研究者の多くが水産分野に属し、主に増養殖業の対象になる魚を研究していることに関係している。わずかに一部の獣医系大学で、熱帯魚の寄生生物の研究が行われている程度だ。このことは、次に述べる水族館の魚に寄生する生物にも当てはまり、愛魚家や水族館の飼育担当者が直面する寄生生物による問題には、詳細な検討が加えられていないのが現状だ。