ラウンドテーブルのまとめ

 9月20日開催のラウンドテーブル「指定管理者制度と情報公開」(日本社会教育学会第57回研究大会、於神戸大学)の簡単なまとめを、学会通信用に書きましたので、ここにも貼り付けておきます。
 当日、ご報告いただいた田中孝男先生、ご参加下さった皆様に、お礼申し上げます。なお、当日のテープ起こし原稿、配布資料等は、2011年3月末発行予定の『追手門学院大学博物館学芸員課程年報Musa』25号に掲載の予定で現在準備を進めております。

指定管理者制度と情報公開  瀧端真理子(追手門学院大学



 本ラウンドテーブルでは、参加者の皆さんから簡単な自己紹介をいただいたあと、瀧端から企画の趣旨説明を行った。情報公開請求の発端は、神戸市立須磨海浜水族園の指定管理者交代の経緯を調べ始めたことで、資料収集の一環として、新・旧の指定管理者の応募書類を公開請求したところ、後者の書類に対して非公開決定通知を受け取ったため、異議申立てを行い、情報公開審査会で意見陳述を行うまでの経緯と、その間に疑問に感じたことを報告した。


 続いて、田中孝男氏(九州大学)からは、今回の一事例に様々な問題が含まれていること、指定管理者制度の要は「情報公開とモニタリング」であることが述べられ、法の解釈として行政上どうすべきか、法律学ではどういう問題点を出すかについて、以下の3点から説明がなされた。

1.指定管理者の情報を内容と保有主体によって分類する
2.指定管理者の多くが出資法人であり、これらに対する情報公開の仕組み
3.政令市の条例や運用に関する要綱等から、法律的な整理をしたときにどのような解釈が可能か。


 そして、2008年総務省通知で「指定管理者の選定過程の透明性」が国からも求められていること、法人情報非開示の基準として神戸市の場合、条例では「利益を害すると認められるもの」となっており、開示による不利益が客観的具体的に存在する必要があることが指摘された。また、当初の非公開決定通知書に客観的具体的理由の提示がなく、行政手続条例違反であること等が指摘された。