福島県立美術館探検

takibata2006-09-10

 ラウンドテーブルがはねたあと、有志で福島県立美術館に(お昼ご飯を食べに)行く。レストランが満員で、時間待ちになり、とりあえず解散して皆で勝手なところへ。
 「ハギレの日本文化誌」展へ。ここで予想外のものに出会う。「百得(ひゃくとこ)着物」というお経を書いた奉納着物。福のある家々から小裂を分けてもらい、つなぐのだそうだ。で、これに驚いて認識を改めて、入り口の方に戻って、「糞掃布」を発見。「うんちぬぐい」のことかと思ったら、お坊さんは、人が捨てたような布を着るのが本来の姿だったらしい。感心してパネルを読んでみると、なんとパッチワークした後、わざと表面をこすってボロのようにしたらしい。なあんだ、贅沢な、と思うと、パネルには、「高雅な」と書いてあるので、可笑しくなる。
 屏風仕立ての小袖。こういう作品(保存方法?)も初めて見た。で、このパネルには、「この方法には問題もあるが」と書いてあるのだが、「何が問題なのか」は書いていない。図録を買ったら答えが書いてあるのかな?と思って買って開いてみるが、やはり書いてない。あとは自分で調べて(考えて)ご覧、という意味なのだろうか。3つ合わせて、とても面白かった。
 昼食後、常設展へ。階段を上ると、「出口」と書いてあるのだが、その意味があまりピンと来ず、そのまま中に入る。絵を見ていてしばらくすると、「あのー、どこから入られましたか?」と監視員さんに遠慮がちに尋ねられる。「あそこから・・・あ、チケット切ってもらわないといけないですね」。(出口から入ってはダメ、というのは、ずる入りしちゃだめ、という意味と気づいたのは、さらに数時間後だった。)
 私のような好みだと、多分、出口から入るのが正しい鑑賞方法だと思う。古いものより、新しいものの方が気に入る場合が多いので。
 で、どんどん昔の方へ遡っていくと、展示室のつなぎ目にトイレがある。珍しいな、と思って、さらに壁に、電話機を発見。「質問電話」とある。これをとると、学芸に直結らしい。あまりに面白いので、すぐ先にいたIさんを呼んで、「これこれ!」と言ってわいわい言う。そばにいた監視員さんに、Iさんが「これって、開館の時からあるんですか?」と質問。「聞いてみましょうか?」と言われて、いえいえいいですよ。
 展示室を入り口から出て、今度は1階を探検。「実習室」を捜しに行く。ドアが開いていて、中では、フレスコ画講座をやっている様子で、見学させていただく。受講生13名、講師1人、学芸風スタッフ1人に、たぶん事務風スタッフ1名。狭いけれども、それなりに道具類も置いてある。ドア丸開け、というのがポイントだろう。中で描いている人たちも、突然の見学者に特に驚く風でもない。
 その手前に、やはりドア丸開けの学芸用書庫(たぶん)。入ってはダメ、とは書いてないけど、いちおう、遠慮しておく。(ドア丸開けはもしかして、冷房代の節約なのだろうか)。
 講堂と講義室。念のため、ドアノブを引いてみるが、施錠されていた。
 「図書館美術館連絡通路」(順番は逆だったかもしれないが)。「南北自由通路」を彷彿とさせ、面白いので、図書館側まで行ってみる。トンネルを抜けると、そこは「こどもの部屋」と「児童図書研究室」だった。
 福島県立美術館は、面白い構造で、展示室のそこかしこに、小さな休憩室があり、裏の竹林や、信夫山を眺めることができる。小さな展示室が、くねくね曲がりながら続いていて、全体としてどういう平面図になっているのか、気になるところだ。
 パネルの謎はともかく、居心地よく、探検のしがいがある。
 
自宅に帰ってから、美術館と図書館のHPを調べてみた。図書館の方には、平面図があるが、美術館の方には見当たらない。図書館の平面図にも、連絡通路は載っていない。なぜ? 雨の日とかは便利だと思うけど。図書館の「こどもの部屋」とかは、2Fとなっている。あれ?美術館は1Fに入ったつもりだったが、はて?
図書館のHPはすぐれもので、インフォメーションのページを開けると、例規集、利用統計、蔵書、という項目まである。設計は株式会社石本建築事務所だそうだ。何か、この県立図書館HPの充実ぶりに圧倒される。美術館には申し訳ないが、両方比べてみていただきたい。
福島県立図書館 http://www.library.fks.ed.jp/
福島県立美術館 http://www.art-museum.fks.ed.jp/

写真は、福島交通飯坂線。駅まではすぐなのだが、帰りの電車は1時間に2本だった。

追記:9月12日、13日の日記に、補足説明をしています。併せてご覧下さい(2006.9.13記)。