「小袖屏風」ふたたび

 9月10日に書いた福島県立美術館探検に、もう一つ補足を。
 S先生から、次のようなメールをいただいたので、紹介したい。
 「屏風仕立ての小袖(着物)。あれは野村コレクションと言ってその道の人には世界的に有名なものです。繊維製品はもろい物で展観のため開き、収納のためたたむ時、破損して行きます。慶長期(1600)以前の着物など開くたびに繊維が抜け落ちて行きます。中には後10回展示したら、跡形無くなるのではと思われる物もあります。という訳で屏風に仕立てた野村さんのアイディアには感心します。勿論、 屏風に仕立てるため寸を詰めたなど原型を損なったなどの批判も一方にはありますが・・・。」
とのこと。さらに、「博物館における資料の劣化の原因の7〜8割は虫の害とカビによるものです。繊維製品の場合も第一はこれらへの対策です。次に繊維製品の場合は乾燥で中の水分が失われセルロースだけが残ります。乾燥した木の葉を連想して貰えば分かると思いますが、折れば直ぐに二つになってしまいます。」とのこと。
 この福島県立美術館の「ハギレの日本文化誌」展、S先生も「出色の展示」と評価されていた。
 私自身も、先述の「百徳着物」「糞掃衣」「小袖屏風」のほか、「常前アサ所持 ハギレ、裂き織用布」の足袋の束や、「ドンジャ」には、そのもの自体が持つ強い存在感を感じた。