本当の締め切り

 昨日、出勤すると、学部紀要編集委員長から連絡が入っていた。原稿の締め切りが、11月16日に変更されたとのこと。そもそも年度内発行なのに、9月末締めなどナンセンスだったのだ。それはさておき、「本当の締め切り」が決まって、ちょっとやる気というか、あせってきた。
 2冊、本を読み終わったけれども、差し迫って知りたいことには、今一歩、届かなかった。読んだのは、次の2冊。
 武藤博己『自治体の入札改革―政策入札―価格基準から社会的価値基準へ―』イマジン出版、2006年。
 永山利和/自治体問題研究所編『公契約条例(法)がひらく公共事業としごとの可能性』自治体研究社、2006年。
 この2冊への田中さんの紹介は、こちら。http://www1.ocn.ne.jp/~houmu-tt/02-060417.html

 私自身は、横須賀市の入札改革について知りたいので、武藤さんの本の「横須賀市における落札率の低下」などの図表は役に立つが、地元業者さんたちの実情は、この本では分からず残念だ。PFI関係のコラムなどは簡潔に書かれていて、全体としては読みやすい。
 永山さんたちの本は、文体をもう少し工夫してくれたら読みやすいのに、と思うものの、ILO94号条約について詳しく書かれていて勉強になった。
 入札改革についても、「技術提案など出来るはずもない中小建設業者にとっては価格以外の競争には参加もできず、相変わらず価格だけの競争を強いられることになる。そして、もちろんダンピングからは抜け出せず業界からの撤退を余儀なくされることになる。実際、総合評価方式で入札に参加する企業が極端な低価格で入札し、落札するケースが出ている」(p.153)といった記述は、私の想像するところに近い。総合評価制度の落札基準に、地元労働者の雇用率、社会保険などの労働者福祉、労働者賃金は「労務費水準」を守っているか、など価格以外の項目を評価点として加えよ、という主張はうなずける。
 一方、「自治体での、委託事業の事業者変更、指定管理者制度への移行に伴って、解雇や労働条件の不利益変更が生じないように、雇用の継続・労働条件の維持に責任を負うこと」という要請は、それぞれの場での労働の「質」の検討を経ずに主張されるなら、市民の共感は得にくいだろうと思う。十分働く貴重な人材もいれば、職場の困ったちゃんもいるに違いないだろうから。