西南学院大学博物館/福岡市博物館

takibata2006-10-13

 早朝、コケッコッコーの声で目が覚める。天神のど真ん中なのに、鶏。
見学研修会で西南学院大学博物館へ。1921年に当時の西南学院本館として建てられたドージャー記念館(西南学院大学博物館)は、ヴォーリズ設計のしゃれた3階建てで、赤レンガに蔦が絡まる。2階講堂の木製の長椅子に座って、T先生のお話を伺う。
 背の低い3階ギャラリーがぐるりと取り囲む講堂の左正面には、控え目な木製の小さな十字架がかかる。T先生のお話では、神学部のチャペル(キリスト教関連の音楽の授業など)を生きた展示として、一般市民に公開しているという。博物館全体では、月平均1,000人くらいの入館者があるとのお話であった。
 黒塗りの木製の小さな階段を上って、3階のギャラリーに行くと、ヴォーリズの設計図の展示がある。黒い木枠の窓から、陽の光が差し込み、簡素で美しい。1階がメインの展示室で、ユダヤ教キリスト教関係の資料が並ぶ。鮮やかな色彩の聖書の写本が目を引く。
 
 福岡市博物館も初めての訪問。もう30年近い昔、福岡市美術館で金印を見た。その金印が、こちらに移っているはずで、その懐かしさを確かめに来た(むろん、金印そのものが懐かしい訳ではない)。常設展示室で、件の金印はすぐに見つかった。こんなに小さかったか、が第一印象。フロアスタッフの女性に、昔のことを尋ねてみる。やはり、福岡市美から、この市博が出来た際に、金印と黒田家関係のコレクションが、こちらへ移ってきたとのこと。
 ついでに、ここを手がけた展示業者さんを尋ねてみる。やはり当り。常設展示室に入って、横のシマシマ壁面に土器が展示されているのを見て、すぐ思い当たった。海の近くの館だと、このシマシマ壁面にお魚が並ぶ。常設展示室全体のつくりは、九州国立博物館に似ている。壁の仕切りがなく、だだっ広い空間に、ガラスケースの島が林立する。私はこの手の部屋の作りは苦手だ。まず、その展示の量(部屋の広さか?)に圧倒されて、1点ずつ丁寧に見よう、という気力をなくしてしまう。バスの出発時刻が決まっている団体見学だとなおさらだ。
 それはともかく、民俗の展示に見入ってしまった。お餅のレプリカが、ものすごく美味しそうなのだ。特に、小豆入りの大きなお餅。それから、みかん、栗、柿のお供え物。串刺しされててんこ盛りになっている。それで、ケースの前のビデオのスイッチを押す。1本が2〜3分の見やすい長さだ。このビデオは、丑祭りと宮座行事。田の神様が家の中に入ったり出たりするらしい。御幣餅はじめ今年の作物を神様にお供えして、その日のうちに、皆で切り分けて食べる。“箕”の両側に、白いお餅と小豆をまぶしたお餅。楽しいビデオと展示だ。
 隣のシマは、漁村のエビス祭。男たちが黒い玉を担ぎ、各家を回る。玉が家に来ると、神様が来た、ということでお酒をかけたり、その家の大事なものを玉で触れる。と、そのアナウンスのあとで、玉が触れた“大事なもの”が、商店のレジスターだったりして笑える。
 他には、「のしあわび」とか、角フグ(ハコフグ)、これは旧博多の略式ののし。「挿し絵」。この布に綿を入れたふくらみのあるアップリケは、昔祖母が作っていたものだ。と、感心しているうち、あえなく集合時間。特別展も、4つある部門別展示室、付帯部分も、全然見る時間がなかった。また一人で来よう。
 ということで、研修は終わって、博多から芦屋へ直行。http://museum.cocolog-nifty.com/hakumonken/
こちらはハードな話で、内容は、一眠りしてからにしよう。