瑞巌寺宝物館

takibata2006-10-29

 書くのが現実に追いつかなくなっているが、28日の続きを(沖縄ネタももちろんまだまだ書きます)。
 午後から松島へ行く。で、松島も瑞巌寺も初めて行ったのだが、素晴らしかった。本塩釜から船に乗る。船中では皆がカモメにカッパえびせんをやっているのを見て、某博物館のことを思い出し、瑞巌寺の杉並木に生える立派なコケを見ては、コケマニアの某さんのことを思い出すのは職業病だろうか。瑞巌寺の本堂の障壁画や板戸絵は、復元模写のものが使われているが、その華やかさに驚く。それから宝物館・青龍殿へ。http://www.zuiganji.or.jp/html/art.html
 で、ここに来るまで、この宝物館の存在すら知らなかったのだが、入ってこれは、とピンと来るものがあった。階段に展示されている雲版。風格がある。そしてちょうど、「松島への足跡―白鴎楼文庫を中心に―」が開催されていて(11月5日まで)、これに心奪われる。他の方にはどうか分からないが、私自身の原点に近いものを感じたのだ。縦には、松島を描いた軸装の数々。そして横置きには、藤井徳斎編著『新編松島往来』(1788)、桜田周輔『松島図誌』(1821)、松島研究会編『趣味の松島』(1930)など。で、このコーナーに釘付けになってしまった。何も予備知識も期待もしていなかったところで、予期せぬ展示に出会うのは本当に嬉しい。何がいいのかと言うと、たぶん、こういう旅行記、紀行文のようなものがもともと好きで、旅心をくすぐられるのがいいのだろう。今見てきた風景だから尚更だし、いわゆる歌枕的な積み重なりの末端に自分もいるのだ。ブログはまさにその延長にある。
 受付に置かれた鈴を鳴らし、図録類を買う。瑞巌寺博物館、と書かれた研究紀要が置いてあったので、「もとは博物館という名称だったのですか?」と尋ねると、先代のご住職は本堂も含めてお寺全体を博物館と考えておられたのだが、と言った趣旨のお話で、もっと詳しくお話を伺うべきだったと、後から後悔した。ちょっとこちらが予想外の展開だったのだ。「よい展示をされてますね」と言うと、大変喜んで下さって、その時になって、この方はこの企画展をつくった学芸員さんではないのか、と思ったのである。
 宝物館を出て、お隣の円通院へ行く。ちょうど、紅葉が色づき始めた頃で、夕方になっていたので人も少なく、たいへん幸福な気持ちになった。