博物館法改正に伴う意見交換会(2)

 昨日の続きを。こういうのを書いてしまっていいのかと日中も考えたが、意見交換会自体はきわめて和やかに行われ、誰かが誰かを責めるというような展開ではなかったし、ことは法改正に関わる重大事だから、多くの人に知っていただき、関心を持っていただきたいと思って書いている。以下、長くなるので、報告をして下さった水嶋さんをM、鷹野さんをT、司会者以外の他の参加者のみなさんを(私を含め)Qと略記させていただく。お忙しい中、さまざまな情報を提供して下さった水嶋さん、鷹野さんに先にお礼を申し上げておきたい。なお、メモ不十分で不確実な部分は()で囲っておく。

M:博物館法改正は、5〜6年以上前から話題に上っており(文部省の委嘱により、日博協から「学芸員のあり方に関する国際調査」が行われ)高安さんが海外調査に行った(注1)。
 制度のあり方については、博物館登録制度をどのように変えようか、現状に即していないのではないか(という意見があった)。学芸員については、大学での養成が不十分であること、指定管理者制度の導入(といったことがあり、学生の学芸員としての就職も)展示会社やリクルートのようなところに登録する(というような流れも始まっており)、学芸員の身分についての議論(が始まっている)。
 48基準の改正との関係で(学芸員数が定数規定外しで)見直されており、税制面でも、公益法人改革があり、博物館としての公益性は何か、税法上の関係から法体系の中で法の利益(法益)の見直し(の動きがある)。
 博物館数が増大し、日博協と文科省等で、博物館数の不一致があるが、これはカウントの仕方、博物館の定義の見直し(をする必要がある)。また館種の増大や、NPOや株式会社立による博物館など、設置者が多様化している。そもそも論は、長い時間を費やす。
 博物館の定義については、イギリスではコレクションの保護・収集を行うものをミュージアムと定義しており、チルドレンズ・ミュージアムやサイエンスセンターはミュージアムには入れていない。一方、アメリカではプラネタリウムやサイエンスセンターも、ミュージアムの中に入れている。日本では、どういう位置づけで考えるか?また、環境教育、文化的景観、まちなみ、は(建造物、重要伝統的建造物群保存地区などがあるが)エリアとしての博物館をどうするのか? 実態に制度が合っていない。
 教育基本法が改正されたが、博物館法にも影響が出るだろう。理念や、人材の望ましいあり方(が問われている)。日博協は文部省[・文科省から]の委嘱調査研究を進めており、報告書『博物館の望ましい姿』を作り、それを実現化する道筋として『使命・計画作成の手引き』『資料取り扱いの手引き』などのマニュアル本を出してきた。
 また(しばしば)日博協は要望書を出して「学芸員のあり方について」調査研究報告書(注1に同じ)では、上級学芸員の(必要性を)指摘しているが、現実に可能かは言及されていない。中教審生涯学習審議会でも学芸員制度の見直し(が言及されている)。
 諸外国では、イギリスでは、登録制度から認定基準に変わった。アメリカでは認定基準があり、フランスの博物館法は2001年に改定があり、これまでのコレクション重視から、教育部門がないと博物館と言えないと変更された(注2)。
 日本でも海外の博物館と共同特別展を組むことがあり、ルール、倫理規定がないままで、海外と太刀打ちできるのか? グローバリゼーションの中で一定の基準が必要では? ICOMのトレーニングの分科会であるICTOP(注3)では(基準の)必要性が指摘されている。
 地方分権・民間の力の活用の部分は、弾力化、大綱化(の流れ、具体的には)48基準での学芸員数撤廃などを(指している)。

注1)日博協のHPで刊行物一覧を調べてみたが、どの報告書に書かれているのか、現時点では不明。PDFファイルの26番の分だろうか? http://www.j-muse.or.jp/jams/pocket/book-info.pdf
注2)ここの段落は私の不勉強でよく分からない。間違っていたらごめんなさい。
注3)http://ictop.f2.fhtw-berlin.de/content/view/21/1/
 ここまでが配布プリントの2までの説明。書いているうちに疲れてしまった。海外の法制度研究は私の苦手とするところで、最新情報をチェックしていないのが丸バレだが、素直に不勉強をさらしておこう。それにしても、博物館のルールとか倫理規定は、海外の博物館に追いつくために作るものではないと思う。現在及び将来の利用者のため、また自然界を含め収集保存するコレクションを大切にするために作るものだろう。博物館法も同じだ。「公益性」の問題しかり。何か、根本の認識がずれていないだろうか。