博物館法改正に伴う意見交換会(3)

takibata2006-12-19

 なかなか本題めいたところへたどりつかないのだが、しばしご辛抱を。さて、今日も水嶋さんの説明の続きを。配布資料の3のところから。

M:3の博物館の目的の見直しが法改正の第一歩。ICOMは、study・research・enjoymentを3本の柱としている。H15年に日博協が出した『望ましい姿』は、マネージメント・コレクション・コミュニケーションを博物館の3つの柱に上げている。3本柱が何なのか、議論をしている最中だ。科学館は現行博物館法で認められている。コレクションを持たない館については、議論の最中だ。設置主体については、国立系をどうするか、全体の法体系の中で見直しが必要だ。
 5の登録事務については、文科省がとったアンケートでは、全国の都道府県平均で、1年間に0.43件しか登録がない。また85%しか登録後の調査がない。登録事務は都道府県の裁量で行われている。県によって、また館種ごとに基準が違う。審査の専門性も低く、教育委員会事務局の職員の異動により、ノウハウが蓄積されない。現行では税制優遇のメリットがあるが、見直しの方向性はいかにあるべきか。
 ①現行法を改善の方向、②第三者機関による登録事務、の二つの案がある。
①は法改正により、審査事務が増える。現行館をどうするのか、再審査するのか?全国統一的な運用を図ろう(という意見もあれば)、登録自体がいるのか(という意見もある)。認定・承認するのか? 登録制度を徹底して、日本の文化・芸術(に対して)博物館の質を一定程度保つには登録が必要という意見もある。法律・規定によって、施設だけでなく、事業内容についても、館種ごとに基準を作るべき、動物園や水族館は同じ基準ではおかしいという意見もある。基準のあり方を考えよう、(登録事務の)ノウハウやキャリアが蓄積される仕組みを検討すべきだという意見が出ている。
②の第三者機関については、全国統一的運用を行いたい。審査の担い手として、教育委員会から第三者機関へ、これは色々な意見があって、日博協が、あるいは、日博協が事務局になって審査委員会を作るという案もある。動水協も?と考えると、植物園はどうするのか?館種ごとに応じた専門審査が望ましい。幅広い有識者を踏まえてやるのか?ノウハウ蓄積でき、審査のキャリアを積む(必要がある)。国が関与しなければ、チェックできない。マンションの偽装問題のように、民間審査機関に任せ放しにするとああいうことになる。国か、都道府県か、教育委員会のチェック機能が働くような(仕組みを考える必要があるだろうが)議論の最中だ。

 これも、タイプしていてため息が出るというか疲れる話だ。いっそ、「今日から自分のところは博物館になる!」って宣言するというのはどうだろうか?ブルックリン・ミュージアムも、 エクスプロラトリアムも、ドイツ博物館も、そうやってできたのだし。
見に行く人は、登録博物館でなくても、見たいものが見られればいい。それが博物館でなくてもいいのだ。見たいものがたまたま、博物館にあったに過ぎない。と考えると、博物館の保存機能はとても大事なことなのだと気づく。

写真は、神奈川県立横須賀大津高等学校校史展、横須賀文化会館にて(2006年9月17日撮影)