第4回大博研

 昨日は大阪市内で、「第4回大阪市博物館施設研究会『改革の時代、市民はミュージアム群に何を求めているのか』」に参加した。http://www.geocities.jp/daihakken2006/daihakken2006.pdf http://blog.livedoor.jp/sakumad2003/
 最初に司会の佐久間さんに、「制度論には立ち入らないでいこう、独法・特区といった仕組みよりも、何をやるために、何をめざすという方向がないと」と言われてしまった(ここで、うん?特区と。この謎は、のちの懇親会で解けた・・・がだいぶ飲んでいたので、正確なところは忘れてしまった)。
 全史料協の時にも話させていただいたのだが、利用者に対して、どんどん制度の話をした方がいいと思う。利用者は博物館がどうなるのか心配しているのだが、遠慮して聞けないのである。
 それはさておき、マスコミにまで幅広く声をかける主催者の力量には感心した。で、昨日の話の中でダントツに面白かったのは、LマガジンのTさんのお話だった。以下、メモをもとに再現。

 Lマガジンの読者は20−30歳代で、教育的においがすると、人は動かない。載せようと思ったときに、教育のにおいがすると排除する。面白いものを載せると、人が動く。何が面白いと思うか。ホネホネ団は取材させてもらった。(博物館にある)面白いものが表に出てこない。展覧会の案内でも、(館が用意した)資料になかったものの方がよっぽど面白い。(感覚が)ズレている。そういうことがたくさんある。
 美術館の特集を組むときでも、各館にアンケートをして、自慢の一品をあげてくださいと頼むと、重文がありますよ、とか返ってくる。そういうものがほしいわけではない。お宝は、みんなが面白いと思っているかというと、かなり疑問。展示内容がよくても、展覧会タイトルがつまらないとか、チラシがダサいとか。メディアは面白いと思ったときだけ伝える。

 この話は実感としてよく分かる。ふと思い出したのが、東京オペラシティアートギャラリーの広報戦略。「美術関係誌はもちろん、一般誌がほとんど。一般女性誌・ファッション誌のアート欄に重複されて掲載され、読者が複数回見ることで入場者数に違いがでる」とのこと。
http://apm.musabi.ac.jp/imsc/cp/cp_old/dateOPERAt.html
美容院に行ったときに、女性誌を見ていると、けっこういろんな展覧会の話題が取り上げられている。・・・などと、主催者の意図とはかなり違うところで楽しんでしまった。
 まちづくりや連携の話は、実際に自分で調査してみないと深いところはわからないので、う〜ん、と思いながら聞いていたのだった。

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追記:朝、起きてから、昨日いただいた資料を読んでみたら、「特区」のことが書かれていたので、補足しておく。

 大阪市は2008年度から、大阪市立美術館大阪歴史博物館などミュージアム六施設を地方独立行政法人化する考えだ。
 同制度は、直営に比べて運営費を抑えられるほか、運営者が短期間で交代することがなく、長期的な目標を立てて活動できるのが特徴だ。指定管理者制度と同じく03年度に導入が可能となり、大学などに先行例がある。ただ現行ではミュージアムへの適用は認められないため、十月に政府の構造改革特区に提案した。(日本経済新聞2006年12月9日)

 う〜ん、知らなかった。新聞読んでなかった私もマヌケだけど、“Nature Study”(友の会の月刊誌)などにも、そういう情報を積極的に載せてほしいと思う。知らないと応援もできないよ、と思うのであった。