博物館法改正に伴う意見交換会(8)

 今日はクリスマスイブ。「鶏とケーキがなかったら帰って来ないからね」と何日か前に次女に釘をさされた。そう言った本人に材料を買ってきてもらうことにした。鶏は骨付きモモを塩・胡椒・レモン味をつけて、玉葱の上にのせてオーブンで焼くのである(いちおう)。
「鶏とケーキは同じ日に食べなくてもいいんじゃないか?」と私。「確かに」と娘。
 イブの日にまで博物館法の話を延々と書いている自分は変人なのかと考える。なぜ、延々と書くのかというと、頭の中に、社会的閉鎖理論(social closure theory)というのがあって、さまざまな集団の利害のせめぎあいを見てしまうからである。「社会的閉鎖理論は二重戦略にも注目する。つまり集団Bは近接従属集団Cに対しては排除戦略を行使しながら、支配集団Aに対しては奪取戦略を行使する」(柴野ほか『教育社会学有斐閣ブックス、1992)。
 さて、意見交換会の続きを。

Q:図書館司書は資格の見直しが行われている。他の3資格の見直しの情報は? 司書のことを土俵に上げないで学芸員だけで議論しているのか?
T:学芸員しか考えていない。情報が提供されておらず、学芸員資格のことだけで手一杯だ。
M:WGの中ではチラッと出る。就職に関しては、図書館司書は人材登録をして運営まわす制度がある。博物館でもできないかと言ってはいる。学芸員資格そのものよりも、ミュージアムナビゲーターの検討が再指摘されている。横並びとして、司書、社会教育主事との関係は議論されていない。
Q:実務実習についてだが、博物館が実習生をとらないといけないというしばり(はあるのか?)
T:施行規則だと思う。
Q:博物館側に義務がないと。受け入れ側のことも考えてほしい。学芸員に専門性が求められていることと矛盾する。
T:施行規則の中に、実習は博物館でしなくてはならないと書かれている。
Q:実効性、強制力はあるのか?
Q:短大は不安だ。ばっさり切るつもりなのか? 現行法での学芸員補はどうなるのか? 短期大学は含有しているのか? 危惧している。
T:現行法と同じだと思う。こないだの新聞報道に惑わされてはいけない。(委員会では)議論していない。現行法では3年以上の実務経験で、(学芸員補学芸員になれる)。
Q:学芸員補は高卒資格だが、(短期大学と明文化することはできないか?)
T:考えていない。埒外だ。
Q:短大卒は、短期大学士と(なり)大学として認められる。逆行しない方向を。
T:(資料3枚目の「大学等における『博物館に関する科目』の修得(現行資格に該当)の後」の)「大学等」の中に短大は入っていない。
Q:国家試験を含んでいるのか?
M:国家資格はどこが認定するのか? 国、第三者機関? 学芸員の評価認定については議論していない。
Q:これまでの任用資格はなくなるのか?
M:上級導入したときに【このあたりメモ不十分で不明】
Q:栄養士みたいな?
M:インディペント・キュレーターとしてやっている人もいるが。法律としては任用資格だ。
Q:上級学芸員ということだが、館長の資格、地位向上のために館長資格があってもいいのでは?
T:議論はされていない。
Q:現状では、係長クラスの人が館長をやっている例もあり、博物館運営を阻害している。
M:日博協ではベンチマークを作って評価基準の検討はしている。『望ましい姿』には9項目を上げ、館長も評価の対象としている。(非常勤館長の問題を含め)法律としてどこまで明記するか? 館長のリーダーシップは評価基準になっている。(2階建ての評価で)法律上は関係していない。日博協(のWGでは、評価基準を)来年3月にまとめるが、それがそのまま文科省の基準になるわけではない。日博協が集約した評価はこんなものだ(という)。【今年は日博協大会に行けなかったので、このあたりの正確なことは不明。聞き間違いがあればお許しを:瀧端注】
Q:実務実習をどう実現させていくのか?
司会:無職で5年間インターンをやるのか? 博物館に入った人しかやれないのではないか?
T:5年は例として上がっているだけだ。こういう方向が出ているというだけで。
Q:就職できないのに実務だけこのレベルまでやれと言うのか? 突然で、議論があってしかるべきだ。
司会:意見を言える余地はある。

 今回の意見交換会では、短大の方々が一番危機感を持たれていることが浮き彫りになった。私自身も当事者の一人であり、朝日の報道を見たとき、とっさに“○○”の文字が浮かび、指定管理者制度に直面した学芸員さんたちの心境に思い至ったのだった。