『情報のさばき方』

takibata2006-12-29

 今日は朝から雪。犬の散歩に出ている間に降り始め、犬の背中に雪が積もった。30分ほどの間に、公園が真っ白になった。
外岡秀俊『情報のさばき方』(朝日新聞社、2006)を読んだ。1953年生まれの著者は朝日新聞東京本社編集局長で、ジャーナリスト入門編のような形で本書は書かれている。ジャーナリズムとは無縁の私の役に立ったのは、情報の整理術だ。
 一番使えそうに思ったのは、ルーズリーフに書く1日1行の備忘録(pp.181−185)。1頁31行のルーズリーフを使い、自分の1日分の行動記録を1行に要約するというもの。以下のような具体例が上がっている。

2/17(木)8:00起床―朝食麺―出社―Aにtel―K氏来社、昼食(セルフリッジ)―BBC出稿―切り抜き―8:00帰宅―DVD「独裁者」

あれ?晩御飯は?と写しながら思ったが、一人で食べた食事はともかく、こういう単純な記録が、後日、いつ誰とを思い出す大事な手がかりになるのは確かだろう。著者が指摘する通り、手帳は過去の情報管理には不適だ。
 またこれとは別頁に、「書いた原稿(見出し、行数)、食べた場所(その相手)、会った人(肩書)、行ったところ(出張先その他)、読んだ本(書名、著訳者名、出版社)、見たもの(展覧会、映画、舞台など)」を書くとのこと。これは気合を入れないと、継続が難しそうだが、これを習慣づければ、随分役に立ちそうだ。
 あとはメモの工夫。複数の人に同時に話を聞く場合は、「ノートを回して自分の位置にお名前と生年月日を書いていただきます」というやり方(pp.62−65)。固有名詞等の間違いを防ぐ確実な方法だ。やれるかどうかは全く別問題というかシチュエーションの問題だが。
 あとはテープ起こし。著者がNY支局特派員だった当時、当時の金丸文夫支局長に、「米国人にインタビューしたら、これも助手にテープ起こしを頼まず、自分でメモ起こしを作る、という原則」を課されたとのこと。著者は、「自分で何度もテープを聴いて不確かなメモを補足するうちに、聴きとり能力の限界や程度が見えてくるようになった」と記している(pp.56-57)。全体を通じ、著者が非常に多くのノートを取っていることがわかり、私としては大いに励まされた。「香港物語」という36回の夕刊連載記事を書くために、大学ノートで1,000頁を超えるメモを取ったそうだ(pp.227−229)。ノートの最後のページ裏に、取材先の名刺や連絡先を貼ったり書き込んだりする(p.60)というのも、ぜひ実行してみたい方法だ。
 本をはじめとする物としての情報を捨てるという著者の主張は、私のような職業の人間には無理だと思うが、「インデックス情報」を残すためのヒントが色々と書かれ、触発されること大だった。
 写真はのとじま水族館(2006年12月28日撮影)