ルイジアナ美術館

takibata2007-01-22

 『美術館とは何か』探索編(とりあえずの)最終回はルイジアナ美術館。松岡さんの訳はこうなっている。

ルイジアナ美術館(デンマーク
ヨーロッパのなかで最も魅力のある近代美術館の1つ。来館者を考慮して作られている。素晴らしいこのミュージアム庭園美術館の良い例でもあり、美術館であるとともにデンマークの人々の散歩の場にもなっている。(pp.36−37)

 この館の公式サイトは簡単に見つかった。
http://www.louisiana.dk/ (英語版もある)
 建物の図面を見ると、『美術館とは何か』のイラスト図面とそっくりで、ただし、その後だいぶ増築されている。昨日の夜は、このサイトを眺めてから眠りについた。
 朝も、布団の中であれこれ考え続けた。一つは、絵と文字の持つ、想像の喚起力について。白黒のスケッチと手描きの文字が、あるいはおそらくフランス語とその訳文のレトリックが、読み手にもたらす効果について。
 私はいつも、この2頁を見ると、借景ということを思い出して、つまり、ルイジアナ美術館のイラストには、「湖」と「海に面した眺め」という書き込みがあって、それだったら、日本では昔からやってるよね、とつい言ってしまうのだった。
 それはともかく、スケッチでこれだけ雄弁に物ごとを語る、その力にただただ恐れ入る。
 もう一つは、漠然と、これからの自分の人生について。この本の巻末には参考文献リストがついている。ぼんやり者だから、今まで気にしなかったが、改めて目を凝らすと、ユグ・ド・ヴァリーン、G・H・リヴィエール、ブルデューフレイレ、ダンカン・キャメロンらの名前が並ぶ。著者である、ダニエル・ジロディさんが、ポンピドゥー・センターの「子供のアトリエ」創設者であるというのを読めば、出版当時の1977年の時代性を強く感じることができる。その後、このニュー・ミュゼオロジーはどこへ行ったのだろうか。
 それは着実に、末本さん流に言えば、換骨奪胎されて、広く世界各地に伝播したのだろうか? この何年か、ずっとそこで止まってしまっていたと思う。
 この『美術館とは何か』、原題は、“LE MUSEE ET LA VIE”である。Vieは、“生活”なのだろうか、それとも“人生”なのだろうか?

 
写真は、伊豆シャボテン公園のメキシコ館(2006年4月6日撮影)、これも本文の内容とは全く関係ない。