京都大学総合博物館

takibata2007-01-23

 今日は午前中の授業がない(先週が最終回だった)ので、意を決して、「湯川秀樹朝永振一郎生誕百年記念展」を見に行く。切羽詰った仕事がたくさんあるので、行ってる場合じゃないというのもあるが、今日を逃したら当分、行く機会もないだろうと思い、寒さに震えながら電車に乗った。毎週、奈良・京都に仕事で出かける割には、寄り道をすることは全くない。お寺めぐりをしないともったいないな〜と思いながら、随分長い年月が経つ。
 京大総合博物館も、オープンしてから足を踏み入れるのは今日が初めて。予想に反し、こんな寒い日なのに、けっこう沢山の人(20人くらいか)が見に来ていた。
 湯川さん・朝永さんの展示はそれなりに面白く、直筆のノートや本への書き込み、紙の挟み込み、書簡などをしげしげと眺めた。湯川さんの実家の小川家では、蔵書が増える度、家をそれに合わせて引越したとパネルに書いてあり、う〜ん、そう来るか、という感じだ。2人の高等学校時代のテストの成績表などもあり、二人とも100点かーと、ガラスケースを覗き込んでいた初老の男性がうなっていた。
 朝永さんの展示パネルには、大学時代の岡潔先生と秋月康夫先生のことが次のように書かれていた。

 この2人の数学者は、ときどき御自身の研究の話もする。若い先生というものは、学生に分からせるというよりも、自身の興味に溺れるところがあるものだ。これが生意気な学生には、たまらない魅力だった。(パンフp.6.)

 このあと、理学部の常設展示を見る。ランビルの森のジオラマがあり、あ、ウォークウェイだ!と思って、渡ろうと近づくと、しっかり柵があって、入れないようになっているのだった。これって、渡って何か不都合なのだろうか?本を読んで想像していたものより、はるかに頑丈そうなのだけど。理学部系常設展示室は異様に暗く、昆虫などの標本のところだけに、スポットライトが当っている。これって、逆じゃないのだろうか?
 この暗さは、パリの自然史博物館や、アメリカ自然史博物館の真似をしたんじゃないだろうか?と勘ぐりたくなるほど暗い。暗くて人も誰もいないので、じっくりパネルや標本を見ようという気分になりにくいのだった。標本を劣化させないためだったら、別室にして、パネルは明るい光の中で見れるようにしたらいいのに、とか思う。
 パネルはたいへん気合の入ったもので、分野ごとに、これまでの研究成果を競いあうようなもので、“ちゃんと読めば”大変充実したものだろうし、カラー写真がふんだんにつかわれ、漢字にはルビもふってあって、きれいな仕上がりになっている。でも、情報多すぎ〜暗すぎ〜!と思う。
 昆虫標本もオオゴキブリはじめ、黒くてツヤツヤした格好良いのがたくさんあった。こんなの初めてというような面白い虫がいて、あとでパンフレットか何かに書いてあるだろうと思ってメモしなかったら、常設展の詳しいパンフや図録は見当たらないのだった。あのパネルは、絶対に全部は読めないから、パネルの内容そのままと、標本リストを小冊子にしたらいいのにと思う。
 あの暗さは、もしかして、ランビルの森の林床の暗さ(?)になぞらえたのか、それとも、壁一面の映像を見せるためなのか? 後者なら、映像など止めて、大型の写真パネルにすればいいじゃない、とかあれこれ考えてしまったのだった。
 出入り口付近のカキの進化の展示も興味深かった。
 そして、エレベーターホールや階段を挟んだ反対側の日本史の展示室に入って絶句した。・・・・・・・・・・・
 ともかくも、理学部は、これまでに自分たちがやってきた調査研究の成果をこれでもか、これでもか、と競い合ってパネルで壁面を埋め尽くしているので、その情熱は十分伝わるのだった。

 写真は京大総合博物館のミュージアムショップ。珍しい絵葉書がいろいろ売っていて、特にポポフというNGOの絵葉書が素敵で、8枚買って帰った。
 ポポフ日本支部のHPはこちら→http://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/Popof/index.htm