神奈川大学にて

 朝、自宅でレジュメの最後の仕上げをしていたら、井上さんから電話が掛かってきた。まだ、家にいるよ、あたりからすでに漫談が始まってしまった。長浜あたりからは、久々の雪景色。白楽の駅から歩く途上で、3月8日(木)の読売新聞夕刊に、「大阪市と国 対立」という見出しで、国が大阪市の特区申請に対して認定を見送ったという記事が掲載された話を聞く。
 夜、検索をいろいろかけたが、記事そのものは無料検索では見つけることができなかった。井上さんが配布してくれたコピーから一部抜粋を。

 公立文化施設の運営主体のあり方をめぐり、国と大阪市が対立している。効率化をめざす市が、市立美術館や博物館の独立行政法人化に向けて、構造改革特区を申請したのに対し、国は、期限付きで管理を民間委託できる「指定管理者制度」の活用を求めて特区申請を見送った。市は・・・今後も同法人化を働きかけるという。
・・・所管の総務省文部科学省は、「官から民へ」の号令下、2003年に設けられた同制度(指定管理者制度:引用者注)を推進する立場。「行政の減量化と民間活力の発揮が求められており、管理者制度の活用を図るべき」として、特区の不採用を決めたのは2月末のことだ。
・・・「文化振興に影響しかねない」と考えた同協会(日本博物館協会:引用者注)は大阪市の動きに呼応して昨年11月、「公立博物館を地方独立行政法人として運用できる立法措置の実現」を決議し、文科省に要請活動を行った。市も、博物館法で独立行政法人を運営主体として位置づけるよう、法改正を求めていく構えだ。

 特区申請が見送られたという話は、初めて聞いた。昨年11月の日博協の大会も行けなかったので、大会決議も知らなかったし、文科省指定管理者制度を推進する立場、というのも、知らなかった。
 特区については、構造改革路線にある意味で逆行する申請は、やはり認められにくいのだな、という感想。
 井上さんの報告では、調べてみたい個人的興味を引かれる部分があった(博物館登録制度が、国からの補助金交付とリンクしていた時代があったのかという、単に私が昔のことを知らないことからくる素朴な疑問)。あとは、「無形の文化遺産」を「保存」する問題や、ソクラテスメソッドの話が面白かった。
 シニア・キュレーター養成制度の井上私案は、聞いているうち、面倒だからやっぱり現職教育でいいのではとかつい思ってしまう。
 お互いに、相手の報告に突っ込みを入れたいのを我慢しながら聞いていたのだった。