『財政のしくみがわかる本』

 夕方、傘を持たずに犬の散歩に出たら、途中、突然、バタバタと雨が降り出し、土砂降りになった。目も開けていられないような惨状。
 さて、神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007)を了読。しょっぱなで躓く。「江戸時代までは、・・・基本的には自給自足で生活を営んでいたのです」(7頁)と、「明治時代のように市民革命が起きると」(10頁)で、頭の中に??ボタンがピコピコと点灯してしまった。が、まあ、そこは、本題ではないとしておこう。
 神野さんは、冒頭(4〜5頁)で、「おおやけ」の意味を、「社会を構成している人々がすべて排除されない、誰もが参加できる領域のことです」と書かれているので、この人はこういう立場に立つ人なのね、というのがすぐ分かる。
 さて、一番難しかったのは、間接税の説明のところ。前段階売上高控除方式と、前段階税額控除方式が説明されていて、消費税率を上げるのなら、「生活必需品などの税率を低くする必要が生じるので、物品ごとにインボイスがついてこないと意味がありません」とのこと(インボイスとは、前の取引業者がいくら税金を納めたかを知るための送り状だそうだ)。消費税率アップと言っても、そんなに単純なものではないということ(だけ?)は分かった。【大学生向けの入門テキストも併読したほうが分かりやすそうだ。】ここを通りすぎると、あとはすんなり読める。
 しかし、びっくりしたのは、国の借金増をどう考えるかという部分である。神野さんは、

国家の借金は、家計の借金や企業の借金とちがって、返そうと思えばいつでも返すことができるのです。たとえば、日本政府が明日、借金を返そうと思えば、明日返すことができます。なぜなら、税率100%の国債保有税という税金をかければいいわけです。つまり、いま国債をもっている人に、国債をもっている額だけの税金を納めるという法律を成立させれば、一日で償還できてしまうのです。(134頁)

頭のトレーニングとしては(理論的には?)そうかもしれないが、それは信義にもとる解決策じゃないの・・・とか思ってしまうのだった。しかし、戦後直後の日本は、インフレと並んで、「一回限りの財産税という巨額の税金をかけて、償還してしまいました」と書いてあるので、そうだったんだ、と思った次第。
 細かな点では、イギリスで郵便貯金ができた経緯が興味深かった。個人的には、もう一つ重大な発見があったが、長くなるので、続きは明日にでも。