イワツバメからの贈り物

 このブログを書き出してから、もうすぐ1年になる。最初に何を書いたのかと思って、過去に遡ってみたら、最初の記事が、「イワツバメのヒナを拾う」(死体)だった。このブログは、生き物の観察記録と、旅日記のつもりで始めたのだった。最初の10日間くらいは、非公開設定にして、出国前に、思い切って公開設定に切り替えた。
 さて、生き物の観察は全く進歩しなかった。しかも、イワツバメが営巣していたU公園近辺の高架は、近所の方々からの「糞が汚い」という苦情に押され、電鉄会社によって、厳重にネットが張られてしまった。
 その後、イワツバメたちは、隣町のK農場前の高架下に移動した。
 博物館主催のMLが取り持つ縁で、野鳥の会の方々を含め、数人で、電鉄会社の担当者の方とK農場前でお会いした。今後、苦情が出た際には、慎重に対応して欲しい旨お願いし、イワツバメが無事営巣地を移したことを喜び合った。
 それも束の間、半月ほど前に、Tさんから、また隣町の女性から苦情が出て、電鉄会社の方が困っているとの連絡をいただいた。Tさんの説得も虚しく、苦情の主の怒りは解けなかったとのこと。
 困ったと思ったものの、U公園近辺での営巣を守れなかった後悔から、K農場前の掃除に行くことにした。イワツバメの糞が落ちて汚いのは、せいぜい4月〜7月の今頃までだろうから、1〜2週間に1回程度なら何とかなるかなと。無論、どの程度続くかは、全く自信がない。
 先週の日曜日、初めて掃除に行き、驚いたのは、イワツバメの糞よりも、タバコのポイ捨てや、空き缶、ぼうぼうに伸びた雑草だった。イワツバメの糞が集中した一番汚かったと思われる箇所は、すでにどなたかが掃除をして下さっていた。イワツバメの糞が落ちると、汚さが増し、そこがさらにゴミのポイ捨てを呼び込むのは、U公園脇でよく知っていた。そのときに、掃除をすればよかったのだが。
 苦情の主は、あれこれ主張されたようだが、基本はやはり汚いというのが発端だろうと判断し、とにかく見た目をきれいにしようと思った。雑草を抜いて、ゴミを拾ったが、肝心の糞は、こびりついて、水(とデッキブラシ)がないと、なかなかきれいにはならない。
 さて、今日、怠慢な心をだましだまし、2回目の掃除に行った。現地に着くと、何と、歩道脇に、イワツバメのヒナの死体が落ちていた! 昨日、おとついの台風で巣から落ちたのだろう。もう2度と、拾うことはないだろう、と思っていただけに、死んだヒナには気の毒だが、うわあ、と思った。奇しくも、U公園脇最後の繁殖の証拠と、K農場前最初の繁殖証拠を拾ったのではないだろうか。
 そんなわけで、冷凍庫の中に、イワツバメは納まった。実は、去年のも、まだ博物館に届けていない。自宅から館へ直行することがないので、つい、そのままになっている。