大阪市の地方独立行政法人化問題(7)

 一日空いてしまったが、高井さんの講演メモの続きを。私が書いたメモの量が少なく、配布資料に書き込んだものをもとに、(だんだん日が経って記憶があいまいになっているが)復元したい。

高井(続き) 博物館施設に適した新たな運営形態として、解決策の一つとしては、指定管理の枠内で、指定期間を長期に設定するという方法があり、最長30年というのがあるそうだが、管理代行者を長期にわたり固定することは、制度の趣旨から逸脱している。指定管理者制度は交替が前提だから、固定化することは制度的にはおかしい。管理代行者を公募によらず、繰り返し同じ法人を指名によって選定するのも、管理委託制度への逆戻りで、(そんなことをするのだったら)管理委託制度とは何だったのか、管理委託制度をなくさなくてよかったのでは?ということになる。本当にそれでいいのか?
 二つ目の解決策としては、継続性の確保のために別の運営形態―地方独立行政法人制度を検討することで、地方独立行政法人法の第二条には、「公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業」という文言があり、切れ目があったり、中身が変わってはいけないということが書いてある。(ここが)大阪市が目をつけたところだ。
 大阪市がすぐに、独立行政法人化できない理由だが、地方独立行政法人法第21条(に、対象となるものとして、「次に掲げる業務のうち」と書かれ)、第5項に、「公共的な施設で政令で定めるものの設置及び管理」とあるが、これを「公の施設」と読み替え(たい)。地方独立行政法人法施行令(公共的な施設の範囲)の中に、ミュージアムが入っていないので、地方独立行政法人化できない。施行令第4条の第2項に、「展示施設」とあるのを拡大解釈できないのか。3つめに、政令に入れてくれ、と総務省に言ったが、うまくいかないので、構造改革特区提案をすることになった。
 指定管理者制度と地方独法がふたごと言った意味は、地方独立行政法人指定管理者制度が同じように審議されているからだ。平成15年6月3日の衆議院総務委員会で、若松副大臣が、「公の施設につきましては、今いったような両制度の違いを考えた上で」(と言っていて、)「個々の地方公共団体において、どちらが適正で効率的で、どちらが得か、こういったことを当然検討していただいた上での選択」と発言している。博物館、美術館が読み込めないのかという質問に対しては、平成15年7月1日の参議院総務委員会で、政府参考人として文科省初等中等教育局長が、「決して教育委員会所管の施設が地方独立行政法人の対象になじまないということではなくて、今申し上げたような意味で今後検討してまいりたい」と言っている。平成15年に、もうちょっとで、(ミュージアムも)地方独立行政法人化できるというところまでいっていながら(できなかった)。【以下、続く】